第112回 看護師国家試験 午後 問63 解説

一般精神看護学✔ 監修済み

📝 問題

精神病床に入院し、身体的拘束が必要となる攻撃性の高い精神疾患患者のケアで正しいのはどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 攻撃性の高い患者では、行動の背景に心的外傷〈トラウマ〉体験があることを想定して支援するのが正しい。

攻撃性の高い患者や身体的拘束を要する患者のケアでは、その行動の背景に過去の心的外傷〈トラウマ〉体験があることを想定して関わる「トラウマインフォームドケア」の視点が重要である。拘束や強い刺激が再トラウマ化を招かないよう配慮し、患者を責めずに安全と安心を確保することが基本となる。

他の選択肢は不適切である。暴力行為のあとに積極的に反省を促すことは、興奮している患者をさらに追い詰め対立を強めるため避ける。疾患・治療の教育は攻撃性が収まるまで完全に避けるのではなく、患者の状態に応じて可能な範囲で継続・工夫する。病棟スケジュールの説明は拘束解除後まで待つのではなく、見通しを持てるよう早期から説明することが不安軽減につながる。

国試の精神看護(行動制限と倫理)では、患者を責めず、安全と信頼関係を優先する姿勢が問われる。反省の強要や情報提供の一律回避といった対応は誤りと判断できる。

再トラウマ化とは

医療者の対応や環境が引き金になり、過去のつらい体験の記憶や苦痛がよみがえること。押さえつける、大声で制止するといった関わりが引き金になりやすい。

  • 1

    心的外傷〈トラウマ〉体験を想定して支援を行う。正解

    行動の背景にトラウマ体験を想定して関わるトラウマインフォームドケアの視点が正しい。

  • 2

    患者が暴力行為に及んだ場合は積極的に反省を促す。不正解

    暴力行為後に反省を積極的に促すのは患者を追い詰め対立を強めるため避ける。

  • 3

    患者の攻撃性が収まるまで疾患や治療の教育を行うことは避ける。不正解

    疾患・治療の教育を一律に避けるのではなく、状態に応じて可能な範囲で継続・工夫する。

  • 4

    患者の身体的拘束が解除されてから病棟のスケジュールの説明を行う。不正解

    病棟スケジュールは拘束解除を待たず、早期に説明して見通しを持たせ不安を軽減する。

📚 混同しやすいので注意

引っかけは「誰が判断するか」に来る。隔離と身体的拘束で判断できる人が違うこと、どんな場合も制限できないものがあることの2点を押さえよう。 精神科病棟の行動制限は精神保健福祉法に定められ、行動制限最小化が原則である。判断を担う精神保健指定医は、この法律に基づいて厚生労働大臣が指定する医師である。隔離・身体的拘束はいずれも必要最小限とし、解除に向けた検討を繰り返す。

  • 身体的拘束中は頻回に観察し、開始・解除の日時と理由を診療録に記載する。
  • 信書の発受(手紙のやりとり)、行政機関の職員や代理人である弁護士との電話・面会は、どのような場合も制限できない。
  • 拘束は深部静脈血栓症・肺塞栓症の危険があるため、下肢の観察と早期解除を心がける。
隔離・身体的拘束の判断と要件
行動制限判断できる者主な要件
12時間を超える隔離精神保健指定医他に代替方法がなく、本人・他者の安全が守れない場合に限る
12時間以内の隔離医師(指定医でなくてもよい)同上
身体的拘束精神保健指定医(時間にかかわらず)自殺・自傷の切迫、多動・不穏が顕著、生命の危険があるとき

参考: トラウマインフォームドケアの考え方(精神看護学)/精神保健福祉法(行動制限最小化の原則)

出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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