第112回 看護師国家試験 午後 問60 解説
📝 問題
妊娠に伴う母体の生理的変化とその時期の組合せで正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 循環血液量が最大になるのは妊娠32週ころである。
妊娠中は胎児への血液供給などのため循環血液量が増加し、妊娠30〜34週ころ(およそ妊娠後期)に最大となる(非妊時の約1.3〜1.5倍)。 「循環血液量が最大になる―妊娠32週ころ」の組合せが正しい。
他の選択肢の時期の誤りを整理しておく。妊娠初期には黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用で基礎体温が上昇し高温相が続くもので、妊娠5週ころに「体温が低下する」わけではない。乳房の緊満(乳房の張り)は妊娠経過とともに徐々に進むもので、妊娠15週ころに特徴的に起こる変化として断定するのは適切でない。つわりは一般に妊娠初期(5〜6週ころ)に始まり妊娠12〜16週ころに軽減することが多く、「11週ころに軽減する」とするのはやや早い。
- 1
体温が低下する。 ―― 妊娠5週ころ不正解
妊娠初期はプロゲステロンの作用で基礎体温が上昇し、妊娠5週ころに体温が低下するわけではない。
- 2
乳房が緊満する。 ―― 妊娠15週ころ不正解
乳房の緊満は妊娠2か月ころから始まって経過とともに強まるもので、15週ころに特徴的に起こる変化ではない。
- 3
つわりが軽減する。 ―― 妊娠11週ころ不正解
つわりは妊娠12〜16週ころに軽減することが多く、11週ころではやや早い。
- 4
循環血液量が最大になる。 ―― 妊娠32週ころ正解
循環血液量は妊娠30〜34週ころ(妊娠後期)に最大となり、32週ころが該当する。
📚 ここも一緒におさえておこう
妊娠の生理的変化は、中身は正しいのに時期だけをずらした選択肢で問われる。数字を1つずつ覚えるより、初期・中期・後期のどこの話かをまず決めると選びやすい。
- 妊娠中の貧血はヘモグロビン11g/dL未満(またはヘマトクリット33%未満)が基準。
- 仰臥位で増大した子宮が下大静脈を圧迫し血圧が低下する仰臥位低血圧症候群は、左側臥位にすることで回避できる。
| 項目 | 変化 |
|---|---|
| 循環血液量 | 妊娠初期から増加し、30〜34週ころに最大(非妊時の1.3〜1.5倍) |
| 赤血球量 | 増加するが血漿量の増加が上回り、見かけ上ヘモグロビンが低下する(水血症・生理的貧血) |
| 血圧 | 妊娠中期に軽度低下し、末期には非妊時の値に戻る |
| 呼吸 | 1回換気量は増加。横隔膜が押し上げられ、吐き終えたときに肺に残る空気の量(機能的残気量)は減少 |
| 基礎体温 | 妊娠初期はプロゲステロンにより高温相が持続し、中期以降は低下する |
| つわり | 5〜6週ころ出現、8〜12週にピーク、12〜16週ころ軽減する |
参考: 母性看護学(妊娠に伴う母体の生理的変化)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について