第112回 看護師国家試験 午前 問61 解説
📝 問題
排卵のある正常な月経周期で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ エストロゲンのポジティブフィードバックによって黄体形成ホルモン〈LH〉の分泌が増加し(LHサージ)、排卵が起こる。
正常な月経周期は卵胞期・排卵期・黄体期からなる。卵胞期には下垂体前葉から分泌されるFSHによって卵胞が発育し、その顆粒膜細胞からエストロゲンが分泌される。 その血中濃度が一定以上に高まると視床下部・下垂体に正のフィードバック(ポジティブフィードバック)が働き、下垂体前葉からの黄体形成ホルモン(LH)の分泌が急に増える。このLHサージが引き金となって排卵が起こる。
排卵後、卵胞は黄体へと変化し、黄体からプロゲステロン(とエストロゲン)が分泌されて子宮内膜を分泌期に変化させる。黄体は妊娠が成立しなければおよそ12〜14日で退縮(白体化)し、月経が起こる。
エストロゲンとプロゲステロンの作用は通常は負のフィードバックだが、排卵直前のエストロゲン高値だけが例外的に正のフィードバックとして働く点が重要である。
FSH〈エフエスエイチ〉とは
卵胞刺激ホルモン。下垂体前葉から出て卵巣の卵胞を育てるホルモンで、LHとペアで月経周期を動かす。
- 1
黄体は形成後1週間で萎縮する。不正解
黄体が退縮するのは形成後およそ12〜14日(約2週間)であり、1週間ではない。
- 2
エストロゲンの作用で子宮内膜が分泌期になる。不正解
子宮内膜を分泌期にするのはプロゲステロンである。エストロゲンは増殖期(卵胞期)をもたらす。
- 3
発育した卵胞の顆粒膜細胞からプロゲステロンが分泌される。不正解
顆粒膜細胞が分泌するのは主にエストロゲンである。プロゲステロンは排卵後の黄体から分泌される。
- 4
エストロゲンのポジティブフィードバックによって黄体形成ホルモンの分泌が増加する。正解
排卵前のエストロゲン高値が正のフィードバックとして働き、LHサージを引き起こして排卵に至る。
📚 一緒に確認しよう
月経周期は卵胞期(増殖期)・排卵期・黄体期(分泌期)に分かれる。 下垂体前葉のFSH・LHと、卵巣のエストロゲン・プロゲステロンが連動して子宮内膜と基礎体温を変化させる。
- 黄体の寿命はほぼ一定の12〜14日で、月経周期の長さの違いは主に卵胞期の長さの差による
- 妊娠が成立すると絨毛から分泌されるhCG(妊娠検査薬が調べているホルモン)が黄体を維持し、妊娠黄体となる
- 高温相はプロゲステロンの体温上昇作用によるもので、基礎体温の二相性は排卵があったことの目安になる
| 時期 | 主なホルモン(産生部位) | 子宮内膜 | 基礎体温 |
|---|---|---|---|
| 卵胞期 | エストロゲン(発育卵胞の顆粒膜細胞) | 増殖期 | 低温相 |
| 排卵期 | エストロゲン高値による正のフィードバック → LHサージ | — | 低温相の終わり(排卵直後に上昇) |
| 黄体期 | プロゲステロン(黄体) | 分泌期 | 高温相(約14日) |
| 月経期 | 黄体退縮でエストロゲン・プロゲステロンとも低下 | 剝脱(月経) | 低温相へ戻る |
参考: 標準的な生殖内分泌学(性腺刺激ホルモンと卵巣周期)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について