第112回 看護師国家試験 午前 問56 解説
📝 問題
入院中の高齢者への看護師の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 入院早期から退院後の生活を予測して情報収集することが最も適切である。
入院中の高齢者への看護では、入院早期から退院後の生活を見据えて情報を収集し、退院支援を計画的に進めることが重要である。 生活環境・家族の状況・在宅で必要となる支援を予測して把握しておくと、スムーズな在宅復帰につながる。
他の選択肢は高齢者への配慮を欠く。入院は生活の場が変わる出来事で、それだけでもリロケーションダメージが起こりやすい。入院当日から複数の看護師が入れ替わり関わると、環境の変化に適応しにくい高齢者に混乱や不安を招くため、担当を固定するなどの配慮が望ましい。1回の訪室で多くの情報を一度に聴取すると負担が大きく、疲労や混乱を招くため、複数回に分けて少しずつ行う。1日のスケジュールを口頭のみで説明すると記憶に残りにくいため、文字や視覚的な工夫を併用する。
リロケーションダメージとは
入院や施設入所など生活の場が変わることで生じる混乱・不安や心身の機能低下。高齢者で起こりやすい。
- 1
入院当日から複数の看護師が関わる。不正解
入院当日から複数の看護師が関わると高齢者が混乱しやすく、担当を固定するなどの配慮が望ましい。
- 2
1回の訪室で多くの情報を聴取する。不正解
1回の訪室で多くの情報を聴取すると負担が大きいため、複数回に分けて行うのがよい。
- 3
1日のスケジュールは口頭で説明する。不正解
スケジュールを口頭のみで説明すると記憶に残りにくく、視覚的な工夫を併用するのが望ましい。
- 4
退院後の生活を予測して情報収集する。正解
入院早期から退院後の生活を予測して情報収集することで、計画的な退院支援につながる。
📚 ここも一緒におさえておこう
高齢者の入院では、環境の変化で起こる問題と、退院に向けた準備の両方が問われる。
- 環境の変化によりリロケーションダメージやせん妄が起こりやすい
- せん妄の3因子:準備因子(高齢・認知症・脳血管障害)、直接因子(手術・薬剤・脱水・感染・低酸素)、誘発因子(環境変化・睡眠障害・身体拘束・疼痛・感覚遮断)
- 廃用症候群(筋力低下・関節拘縮・意欲や食欲の低下)を防ぐため早期離床を促し、日中の活動と生活リズムを整える
- 説明は静かな環境で、ゆっくり低めの声で行い、文字や図を併用する。眼鏡・補聴器・義歯の使用を確認する
- 退院支援は入院早期のスクリーニングから始め、退院支援計画・多職種カンファレンス・退院前訪問へつなぐ
- ポリファーマシー(多剤併用)、栄養、住環境、介護保険サービスの調整を家族やケアマネジャーと連携して行う
参考: 老年看護学・高齢者の入院看護に関する標準的看護学教科書
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について