第112回 看護師国家試験 午前 問52 解説
📝 問題
広汎子宮全摘出術を受けた患者への退院後の生活に関する説明で正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 広汎子宮全摘出術後は排尿障害が起こりやすいため、定期的に排尿を試みるよう説明するのが正しい。
広汎子宮全摘出術では、子宮周囲の組織を広く切除する際に骨盤内臓神経が損傷されやすく、術後に排尿障害(尿意の低下・残尿・排尿困難)が生じることがある。 尿意がなくても、時間を決めて定期的に排尿を試みるよう指導する。
術後の性交再開は創部や組織の回復を待ち、医師の許可のもとで行う。術後2週から可能と一律に説明するのは早すぎる。調理のときに手袋をする必要はない。この手術で問題になるのは下肢のリンパ浮腫で、手の保護は関係しない。退院当日から浴槽に浸かるのも、創部の状態によっては感染を起こしうるため勧められず、一般には医師の許可を得てからとする。
骨盤内臓神経とは
膀胱や腸の働きを調節する副交感神経。この手術で傷つくと尿意を感じにくくなり、排尿障害が起こる。
- 1
「術後2週から性交は可能です」不正解
性交の再開は創部・組織の回復を待ち医師の許可を得て行うもので、術後2週から一律に可能とはいえない。
- 2
「定期的に排尿を試みてください」正解
神経損傷による排尿障害が生じやすいため、尿意がなくても定期的に排尿を試みるよう指導する。
- 3
「調理のときは手袋をしてください」不正解
調理時に手袋をする必要は特になく、本手術後の一般的な退院指導とはいえない。
- 4
「退院当日から浴槽の湯に浸かることができます」不正解
退院当日からの入浴(浴槽)は創部の状態により感染リスクがあり、一般には医師の許可を得てからとする。
📚 国試でよく狙われるところ
広汎子宮全摘出術は、術後に起こる合併症とその対応がまとめて問われる。
- 排尿障害:骨盤内の自律神経が損傷され、膀胱知覚の低下と排尿筋の収縮低下により尿閉・残尿を生じる。時間を決めた排尿、残尿測定、必要に応じて間欠自己導尿(患者が自分でカテーテルを入れ、時間を決めて尿を出し切る方法)を指導する
- 下肢リンパ浮腫:骨盤・傍大動脈リンパ節郭清により生じる。スキンケア(外傷・虫刺され・熱傷を避ける)、弾性ストッキングや弾性包帯、用手的リンパドレナージ、体重管理を行う。蜂窩織炎に注意する
- そのほか、腸閉塞、リンパ嚢胞、深部静脈血栓症に注意する
- 卵巣を合併切除した場合は卵巣欠落症状(ホットフラッシュ、発汗、骨粗鬆症)が生じうる
- 性生活の再開は腟断端の治癒を待ち、医師の許可を得てからとする
参考: 婦人科術後看護・広汎子宮全摘出術に関する標準的看護学教科書
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について