第112回 看護師国家試験 午前 問45 解説
📝 問題
関節拘縮の予防を目的とした関節可動域〈ROM〉訓練で正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 関節可動域訓練の他動運動は、痛みが生じない範囲でゆっくり行う。
関節拘縮の予防を目的とした関節可動域(ROM)訓練では、他動運動は疼痛を生じさせない範囲でゆっくりと行うのが原則である。痛みを伴う無理な運動は組織の損傷や炎症、拘縮の悪化を招くため避ける。
他の選択肢は誤りである。関節はゆっくりと動かすのが原則で、速く動かすと筋のスパズムや損傷を招く。運動麻痺がある場合は健側から行って動きを確認・共有し、患側は愛護的に行うのが基本で、患側から始めるのは適切でない。徒手筋力テスト(MMT)が1以下(筋収縮がわずか〜なし)の場合は自動運動が困難であり、他動運動で可動域を維持するのが適切で、自動運動を促すのは現実的でない。
スパズムとは
筋肉が意思と関係なく強く縮んでつっぱること。関節を急に速く動かすと起こりやすい。
- 1
関節を速く動かす。不正解
関節はゆっくり動かすのが原則で、速く動かすと筋の損傷やスパズムを招く。
- 2
運動麻痺がある場合は患側から行う。不正解
運動麻痺がある場合は健側から行い動きを確認し、患側は愛護的に行う。患側からではない。
- 3
他動運動は痛みが生じないように行う。正解
他動運動は疼痛を生じさせない範囲でゆっくり行うのがROM訓練の原則である。
- 4
徒手筋力テストの結果が1以下の場合は自動運動を促す。不正解
MMTが1以下では自動運動は困難であり、他動運動で可動域を維持するのが適切である。
📚 ここも一緒におさえておこう
関節可動域訓練は、動かさないことで起こる廃用症候群を防ぐために行い、筋力の段階に応じて方法を選ぶ。
- MMT2以下では他動運動・自動介助運動(患者が自分で動かす力に看護師が手を添えて足りない分を補う運動)、3以上では自動運動・抵抗運動を検討する
- 廃用症候群では関節拘縮のほか、筋萎縮・骨萎縮(骨粗鬆症)・起立性低血圧・深部静脈血栓症・褥瘡・誤嚥性肺炎に注意する
| 段階 | 表記 | 内容 |
|---|---|---|
| 5 | Normal | 強い抵抗に抗して全可動域を動かせる |
| 4 | Good | いくらかの抵抗に抗して全可動域を動かせる |
| 3 | Fair | 重力に抗して全可動域を動かせる |
| 2 | Poor | 重力を除けば全可動域を動かせる |
| 1 | Trace | 筋収縮は触知できるが関節は動かない |
| 0 | Zero | 筋収縮がまったくない |
参考: リハビリテーション看護・関節可動域訓練に関する標準的看護学教科書
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について