第112回 看護師国家試験 午前 問26 解説
📝 問題
骨格筋の細胞膜には( )に対する受容体がある。自己抗体がこの受容体の働きを阻害すると骨格筋は収縮できなくなる。( )に入る神経伝達物質として正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 骨格筋の神経筋接合部で働く神経伝達物質はアセチルコリンである。
骨格筋を収縮させる指令は、運動神経終末から放出される神経伝達物質アセチルコリンが、筋細胞膜(終板)のニコチン性アセチルコリン受容体に結合することで伝わる。重症筋無力症ではこの受容体に対する自己抗体が受容体の働きを阻害するため、神経から筋への伝達が障害され、易疲労性の筋力低下が生じる。
国試では神経筋接合部の伝達物質と重症筋無力症の病態が問われる。 骨格筋を動かすのはアセチルコリン、と押さえておくとよい。 アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミンはカテコールアミンで、自律神経(交感神経など)や中枢の伝達に関わるが、骨格筋の神経筋接合部の伝達物質ではない。
ニコチン性アセチルコリン受容体とは
アセチルコリンを受け取る受容体のうち、骨格筋の神経筋接合部と自律神経節にあるタイプ。もう一方のムスカリン性は副交感神経が働きかける臓器側にある。
- 1
アセチルコリン正解
アセチルコリンが神経筋接合部の受容体に結合して骨格筋を収縮させる伝達物質である。
- 2
アドレナリン不正解
アドレナリンは副腎髄質などから分泌されるカテコールアミンで、骨格筋の神経筋接合部の伝達物質ではない。
- 3
ドパミン不正解
ドパミンは中枢神経系などで働く伝達物質で、神経筋接合部の伝達物質ではない。
- 4
ノルアドレナリン不正解
ノルアドレナリンは主に交感神経の伝達物質で、骨格筋収縮の直接の伝達物質ではない。
📚 ここも一緒におさえておこう
アセチルコリン受容体に対する自己抗体でおこるのが重症筋無力症で、症状・合併症・急変時の対応まで問われる。神経伝達物質は働く部位と受容体をセットで整理しておく。
- 重症筋無力症は抗アセチルコリン受容体抗体による自己免疫疾患で、眼瞼下垂・複視・易疲労性を示し夕方に悪化(日内変動)する
- 胸腺腫の合併が多く、胸腺摘除術が行われることがある
- 症状が急に悪化して呼吸筋が動かなくなるクリーゼでは、命に関わるため人工呼吸管理が必要になる
| 部位 | 伝達物質 | 受容体 |
|---|---|---|
| 神経筋接合部(骨格筋) | アセチルコリン | ニコチン性 |
| 自律神経節(交感・副交感) | アセチルコリン | ニコチン性 |
| 副交感神経の節後線維 | アセチルコリン | ムスカリン性 |
| 交感神経の節後線維 | ノルアドレナリン(例外:汗腺はアセチルコリン) | アドレナリン受容体 |
| 副腎髄質 | アドレナリン・ノルアドレナリン | — |
| 中脳黒質-線条体 | ドパミン | 減少するとパーキンソン病 |
参考: 標準的な解剖生理学(神経筋接合部)・重症筋無力症の病態
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について