第109回 看護師国家試験 午後 問93 解説
📝 問題
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。 A さん(35歳、女性)は甲状腺乳頭癌で甲状腺全摘出術を受けた。A さんは、手術後に甲状腺ホルモン製剤、カルシウム製剤、ビタミン D 製剤の内服が開始され、手術後1週で退院することになった。A さんは「退院後の生活で気を付けることを教えてください。私は35歳ですし、夫と年が離れているため、できるだけ早く子どもが欲しいと思っています」と話している。 看護師が行う A さんへの1か月後の受診までの生活指導で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 甲状腺全摘後はホルモン製剤で機能を補うため、海藻類(ヨード)の摂取制限は不要である。
甲状腺を全摘出しているので、ヨードを取り込んで甲状腺ホルモンを作る組織はもう残っていない。 ヨードを多く含む海藻類を控えても意味がなく、摂取を制限する必要はない。 足りない甲状腺ホルモンは、製剤の内服で補う。
妊娠は禁忌ではなく、ホルモンの量を整えれば妊娠・出産はできる。 早く子どもを望むAさんに、1年間の延期を一律に勧めるのは適切でない。 術後の回復が進めば、運動を制限する必要もない。 入院前の飲酒はビール700 mL/日を週5日と過量で、そのまま続けてよいとは言えない。
- 1
「運動は控えましょう」不正解
術後の回復が進めば、運動を強く制限する必要はない。適度な運動はむしろ勧められる。
- 2
「1年間は妊娠を控えましょう」不正解
ホルモンをコントロールすれば妊娠は可能で、一律に1年間控える必要はない。早期妊娠希望に反する。
- 3
「海藻類の摂取に制限はありません」正解
全摘でヨードを利用する甲状腺組織がないため、海藻類(ヨード)摂取の制限は不要。
- 4
「飲酒量は入院前と同じでよいです」不正解
入院前の飲酒量は過量であり、そのまま容認するのは不適切。節酒指導が必要。
📚 混同しやすいので注意
甲状腺ホルモン薬は、足りないときと多すぎるときで出る症状が正反対になる。体の代謝が落ちるほうか上がるほうかで見分けよう。
- 甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)は自己判断で中断しない
- 不足すると倦怠感・浮腫・便秘・寒がりといった機能低下の症状が現れる
- 過量では動悸・発汗・手指振戦・体重減少が出る。定期的なTSHの測定で用量を調整する
- 妊娠中は必要量が増えるので、妊娠が分かったら早めに受診し、内服は続ける
- 放射性ヨウ素内用療法を予定するときに限り、一定期間のヨード制限食が必要になる
- 副甲状腺機能低下があれば、カルシウム薬・活性型ビタミンD薬の内服も継続する
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について