第109回 看護師国家試験 午後 問84 解説
📝 問題
高齢者が共同生活をする施設で、感染の拡大予防のために個室への転室などの対応を必要とするのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 個室隔離を要するのは感染力の強い角化型疥癬である。
角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は、免疫の力が落ちた人にヒゼンダニが大量に寄生し、厚くなった角質のなかに膨大な数のダニがひそんでいる状態である。 短い接触や、はがれ落ちた皮膚からもうつるほど感染力が強いので、共同生活の場では個室への隔離と接触予防策で集団感染を防ぐ。
他の選択肢は、個室に移すほどの感染力はない。 通常疥癬はダニの数が少なく、長時間の肌の接触や寝具の共用でうつる程度なので、個室隔離までは要らない。 白癬も接触でうつるが個室隔離は不要、帯状疱疹は水疱の中身への接触予防策で足り、原則として個室隔離までは求められない。 蜂窩織炎は皮下組織に細菌が入って起こる炎症、皮膚カンジダ症は体にいる真菌が増えて起こるもので、どちらも人から人へ広がる病気ではない。
ヒゼンダニとは
疥癬を起こす、目に見えないほど小さなダニ。皮膚の角質にもぐり込んで卵を産み、強いかゆみを起こす。
- 1
白癬不正解
白癬は接触で伝播しうるが、個室隔離までは要さない。
- 2
帯状疱疹不正解
帯状疱疹は接触予防を要するが、原則個室隔離は必須でない。
- 3
蜂窩織炎不正解
蜂窩織炎は皮下組織に細菌が入って起こる炎症で、人から人へうつる病気ではない。
- 4
角化型疥癬正解
角化型疥癬は感染力が非常に強く、個室隔離と接触予防策が必要。
- 5
皮膚カンジダ症不正解
皮膚カンジダ症は体にいる真菌が増えて起こるもので、集団感染は起こさない。
📚 関連知識
| 項目 | 通常疥癬 | 角化型疥癬 |
|---|---|---|
| 寄生するダニの数 | 数十匹程度 | 極めて多い(100万匹以上とされる) |
| 感染力 | 弱い。長時間の肌の接触や寝具の共用で感染 | 非常に強い。短時間の接触や落屑からも感染する |
| 主な症状 | 強いかゆみ、指間・手首・腋窩の丘疹、陰部の結節 | 厚い灰白色の角質増殖(鱗屑)。かゆみは乏しいこともある |
| 隔離 | 原則不要(標準予防策+接触予防策) | 個室隔離と接触予防策が必要 |
角化型疥癬は免疫力の低下した高齢者などにみられる。落屑にダニが多数含まれるため、寝具・衣類の管理と居室の清掃を徹底する。
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について