第109回 看護師国家試験 午後 問57 解説
📝 問題
A さん(90歳、女性)は、認知症で要介護3。デイサービスの送迎の際に、同居している娘から「食事は家族と同じものを食べていたのですが、昨日から下痢が続いています。発熱はなく、元気はあります」と看護師に話があった。デイサービスでは午前中に不消化便が1回あり、おむつ交換の際に、肛門周囲の発赤がみられた。 A さんへの対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 下痢が続く高齢者には経口補水液の摂取を促す。
本例は下痢が続いており、脱水予防が最優先となる。 発熱はなく元気もあるため経口摂取ができると考えられ、水分と電解質を補える経口補水液の摂取を促すのが適切である。
腹部マッサージや食物繊維の多い食事は腸の動きを強め、下痢を長引かせるため適切でない。 肛門周囲に発赤があるときに石けんでこすり洗いをすると、皮膚のバリア機能がさらに落ちて刺激になる。ぬるま湯で押さえるように洗い、皮膚保護剤で守る。
経口補水液とは
水分と塩分・糖を、腸から吸収しやすい割合で混ぜた飲み物。ふつうの水やお茶より、失った水分を戻しやすい。
- 1
腹部マッサージを行う。不正解
腹部マッサージは腸蠕動を促し下痢を助長するため不適切である。
- 2
経口補水液の摂取を促す。正解
下痢による脱水予防のため水分・電解質を補う経口補水液を促す。
- 3
食物繊維を多く含む食事にする。不正解
食物繊維の多い食事は蠕動を促進し下痢を悪化させうる。
- 4
石けんを使って肛門周囲を洗う。不正解
発赤のある肛門周囲を石けんでこするのは刺激となり避ける。
📚 ここも一緒におさえておこう
高齢者は体内水分量の減少・口渇感の低下・腎の尿濃縮力の低下により脱水に陥りやすい。 下痢が続くときは、まず水分と電解質の補給を考えよう。
- 観察項目…口腔・腋窩の乾燥、皮膚のツルゴール低下、尿量減少と尿の濃染、頻脈、血圧低下、体重減少、意識レベルの低下
- 経口補水液は水分と電解質(ナトリウム・糖)を同時に補える。少量ずつ頻回に摂取させる
- 下痢時のスキンケアは、こすらず微温湯で洗い流すかやさしく押さえ拭きし、皮膚保護剤で保護する
- 嘔吐を伴う、意識障害がある、経口摂取が進まない場合は輸液を検討する
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について