第109回 看護師国家試験 午前 問120 解説
📝 問題
左脳の運動野に脳梗塞を発症した A さん(75歳、女性)は、2か月間のリハビリテーションの結果、健側をつかってベッド上で端坐位ができるようになり、補装具をつければ軽介助で歩行できる状態まで回復した。退院後はベッド柵をつけた介護用ベッドを設置し、自宅で生活をする予定である。A さんが自宅で使用する介護用ベッドの柵の配置を図に示す。 ベッド柵の配置で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ ベッド柵は、健側から起き上がり移動できるようAの配置が適切。
左脳梗塞のAさんは右片麻痺があり、右が患側、左が健側である。 ベッド柵は、健側から起き上がる動作を支え、患側からの転落を防ぐ位置に設ける。 この2つを同時に満たす配置がAである。
柵で全周を囲うと、乗り越えによる転落を招くうえ身体拘束にあたる。 反対に必要な側に柵がないと、起き上がるときの支えがなくなり、患側からの転落も防げない。 補装具をつけて軽介助で歩けるAさんには、健側の力を使って自分で離床できる配置が求められる。
健側とは
麻痺のない側のこと。麻痺のある側は患側といい、移乗・更衣・歩行はいずれも健側の力を使って行う。
- 1
A正解
健側(左)から起き上がれる支えとなり、患側からの転落を防ぐ配置で、安全と自立を両立する。
- 2
B不正解
健側からの起居動作の支えや患側の転落防止が不十分な配置で適切でない。
- 3
C不正解
麻痺側・健側と起き上がり動作を踏まえた安全な柵配置になっておらず適切でない。
- 4
D不正解
全周を囲うなど乗り越えや拘束につながる、または必要な支えを欠く配置で適切でない。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
片麻痺のある人の環境調整は「健側から動く」が合言葉。 ベッド柵・車椅子・杖・介助者の位置は、いずれも健側で力を使い、患側を守るという考え方から決まる。
- 移乗では健側に車椅子を置き、健側の足を軸にして回る。介助者は原則として患側に立つ。
- 更衣は脱健着患(脱ぐときは健側から、着るときは患側から)。
- 杖は健側の手に持ち、杖→患側の足→健側の足の順に進む3動作歩行が基本。
- 階段は手すりを使いながら昇りは健側の足から、降りは杖と患側の足から。
- ベッドを4点柵で全周囲むことは身体拘束にあたるため、切迫性・非代替性・一時性の3要件を満たす場合に限り、説明と記録を行う。
| 障害側 | 麻痺 | 伴いやすい症状 |
|---|---|---|
| 左半球 | 右片麻痺 | 失語、失行 |
| 右半球 | 左片麻痺 | 半側空間無視、病識の低下、注意障害 |
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について