第109回 看護師国家試験 午前 問104 解説

状況設定小児看護学✔ 監修済み

📝 問題

1型糖尿病の疑いで入院した A君(8歳、男児)。入院後、インスリンの持続点滴静脈内注射が開始された。入院後3日に血糖値が安定し、インスリンの持続点滴静脈内注射が中止された。ペン型注射器によるインスリン療法が開始され、看護師は母親と A君に自己血糖測定とインスリン自己注射について説明した。A君は「自分で注射するなんてできない」と言ってインスリン自己注射の練習が進まない。 A君への看護師の対応で最も適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 同年代の糖尿病患児と話す機会を作るのが最も適切。

8歳の学童は、同年代の仲間との関わりを通じて自分を確かめていく発達段階にある。 自己注射を拒むA君には、同じ病気で注射をしている同年代の子と話す機会をつくることが、「自分にもできる」という自信(自己効力感)につながる。 ピアサポートの効果が期待できる。

他の3つは、A君の「できない」という気持ちを動かせない。 必要性の説明を重ねても心理的な抵抗は残り、母親が注射を代わり続ければ自立の機会が失われ、退院を条件にすれば注射は義務や脅しになる。

ピアサポートとは

同じ病気や体験をもつ仲間どうしが支え合うこと。専門職の説明では届かない「自分にもできそう」という実感が生まれる。

  • 1

    インスリン自己注射の必要性を繰り返し説明する。不正解

    必要性の繰り返しの説明は、心理的抵抗を抱える子どもの負担を強めることがある。

  • 2

    A君が納得するまで母親にインスリン注射をしてもらう。不正解

    母親が注射し続けることは、本人の自立と将来の自己管理獲得を妨げる。

  • 3

    インスリン自己注射ができるようになったら退院できると話す。不正解

    退院を条件に示すことは義務や脅しと受け取られ、前向きな動機づけにならない。

  • 4

    インスリン自己注射をしている同年代の糖尿病患児と話す機会を作る。正解

    同年代の患児との交流はロールモデルとなり、自己効力感を高め主体的な取り組みを促す。

📚 ここも一緒におさえておこう

学童期はErikson(エリクソン)の発達課題「勤勉性 対 劣等感」の時期。 「やってみたらできた」という達成体験が自信になる。 説得や条件提示より、できそうだと思える出会いと段階的な成功体験が行動を変える。

  • 慢性疾患をもつ子どもの支援では、サマーキャンプや患者会など同じ病気の仲間と出会う機会が有効。
  • 手技の獲得は見学→一緒に→見守りのもとで自分でと段階を踏み、できた部分を具体的に認める。
  • 学校生活では養護教諭・担任との情報共有を行い、血糖測定やインスリン注射をする場所と時間、低血糖時の対応を事前に取り決めておく。
  • 本人が管理を担うようになっても、家族が見守り役割を分かち合う姿勢を続けることが大切。
1型糖尿病の子どもの学校生活で備えること
場面備えること
体育・運動会運動前後の補食、低血糖時にすぐ食べられる補食の常備
給食食べる量に応じたインスリン量の調整
宿泊行事事前に学校・保護者・主治医で打ち合わせ、注射と測定の場所を確保
低血糖時ブドウ糖や糖分を含む飲料を摂取し、15分後に再測定

出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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