第108回 看護師国家試験 午後 問62 解説
📝 問題
Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。 最も考えられる疾患はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 日中の過剰な眠気、入眠時幻覚、睡眠麻痺、情動脱力発作を呈することからナルコレプシーが最も考えられる。
ナルコレプシーは、日中の耐えがたい眠気を主症状とし、四徴として睡眠発作・情動脱力発作(カタプレキシー)・入眠時幻覚・睡眠麻痺(金縛り)を呈する。 設問の「笑ったり怒ったりしたときに脱力する」は情動脱力発作、「入眠時の幻視」は入眠時幻覚、「移行期に体を動かせない」は睡眠麻痺にあたり、ナルコレプシーの典型像が揃っている。 覚醒を維持するオレキシン(ヒポクレチン)神経系の機能低下が原因と考えられている。
国試ではこの四徴と、居眠り運転など社会生活への影響が問われやすい。 睡眠時無呼吸症候群も日中の眠気をきたすが、いびき・無呼吸・肥満が背景にあり、情動脱力発作は伴わない点で鑑別する。 診断には睡眠ポリグラフ検査(PSG)や反復睡眠潜時検査(MSLT)が用いられる。
- 1
睡眠時遊行症不正解
睡眠時遊行症は睡眠中に歩き回る睡眠時随伴症で、日中の眠気や情動脱力発作は主症状ではない。
- 2
ナルコレプシー正解
日中の過剰な眠気に加え情動脱力発作・入眠時幻覚・睡眠麻痺という四徴が揃っており、ナルコレプシーが最も考えられる。
- 3
睡眠時無呼吸症候群不正解
睡眠時無呼吸症候群も日中の眠気をきたすが、いびきや無呼吸が特徴で、情動脱力発作や入眠時幻覚は伴わない。
- 4
睡眠・覚醒スケジュール障害不正解
睡眠・覚醒スケジュール障害は睡眠のタイミングのずれが問題で、情動脱力発作などの四徴は認めない。
📚 国試でよく狙われるところ
睡眠障害は、症状の組合せから疾患を見分けさせ、そのうえで治療と生活指導が問われる。特徴的な症状を疾患名とセットで覚えよう。
- 治療は、眠気に中枢刺激薬、情動脱力発作に抗うつ薬を使い分ける
- 計画的な短時間の仮眠と規則正しい睡眠習慣が生活指導の中心になる
- 眠気が強い時期は自動車の運転を控えるよう指導する
| 疾患 | 特徴 |
|---|---|
| ナルコレプシー | 睡眠発作・情動脱力発作・入眠時幻覚・睡眠麻痺の四徴 |
| 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 | いびき・無呼吸・肥満・日中の眠気。治療はCPAP |
| レストレスレッグス症候群 | 夕方〜夜間の下肢の異常感覚。鉄欠乏と関連 |
| レム睡眠行動障害 | 夢の内容に一致した行動。Parkinson病・Lewy小体型認知症と関連 |
| 睡眠時遊行症 | ノンレム睡眠期に起こり小児に多い。本人は覚えていない |
参考: 医学書院「系統看護学講座 精神看護学」/日本睡眠学会 ナルコレプシーの診断・治療ガイドライン
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について