第108回 看護師国家試験 午後 問107 解説
📝 問題
Aさん(28歳、初産婦)は、妊娠糖尿病〈GDM〉と診断された。胎位が骨盤位であったため妊娠38週2日に予定帝王切開術を受けた。弾性ストッキングを着用している。 手術後1日。Aさんのバイタルサインは、体温37.3 ℃、脈拍68/分、血圧124/66 mmHgであった。排ガスはあるが、排便はない。Aさんは膀胱留置カテーテルの抜去後、看護師に付き添われ歩いて室内のトイレに行った。排尿後、すぐにベッドに横になった。Aさんは「起き上がってから頭が痛くなりました。めまいやふらつきはありませんでした」と看護師に話す。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられた。後陣痛はない。 Aさんへの対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 起立時のみの頭痛は循環血液量不足も一因と考えられ、脱水予防のため水分摂取を促すのが適切である。
帝王切開術後1日のAさんは、起き上がると頭痛が出るが、めまいやふらつきはないと訴えている。子宮復古は良好で、悪露も正常、後陣痛もない。 起き上がったときだけ出る頭痛には、術後の飲水不足による循環血液量減少が関わっていることがある。脊髄くも膜下麻酔のあとに起こる脊椎麻酔後頭痛も、同じように起き上がると強くなる。 どちらであっても、まず水分摂取を促して循環を保ち、頭痛の変化を観察するのが安全で適切な対応である。強くなるようなら医師に報告する。
他の3つは、この場面では選べない。 弾性ストッキングは静脈血栓塞栓症を防ぐために着けているもので、頭痛を理由に外すものではない。 腹部の冷罨法は子宮の収縮を促したいときに行うもので、子宮が硬く触れ悪露も正常なAさんには要らない。 排尿はすでにトイレまで歩いてできているので、床上排泄に戻す理由がない。
子宮復古とは
分娩で大きくなった子宮が、もとの大きさに戻っていくこと。子宮底の高さと悪露の変化で、進み具合をみる。
- 1
手術前から着用している弾性ストッキングを脱がせる。不正解
弾性ストッキングは術後の静脈血栓塞栓症予防に着用しており、頭痛を理由に脱がせるのは不適切である。
- 2
腹部の冷罨法を行う。不正解
子宮復古が良好で悪露も正常なため腹部の冷罨法は不要で、頭痛への対応にもならない。
- 3
床上排泄を促す。不正解
すでにトイレ歩行で排泄できているため、床上排泄を促すのは過剰な行動制限で必要ない。
- 4
水分摂取を促す。正解
術後の飲水不足による循環血液量減少が頭痛に関与しうるため、水分摂取を促して観察するのが適切である。
📚 ここも一緒におさえておこう
帝王切開後の観察は、子宮復古と術後合併症の2本立てで問われる。子宮底の高さと悪露の色を日数と対応づけて覚えよう。
- 帝王切開後は静脈血栓塞栓症のリスクが高く、弾性ストッキング着用と早期離床で予防する
- 脊髄くも膜下麻酔後の頭痛は起き上がると増悪し臥床で軽快するのが特徴で、安静・水分補給で経過をみる
- 子宮復古不全では、子宮底が高い・子宮が軟らかい・悪露が長く続く
| 時期 | 子宮底の高さ | 悪露 |
|---|---|---|
| ①分娩直後 | 臍下2〜3横指 | 赤色悪露 |
| ②産褥12時間ごろ | 臍高〜臍上1横指 | 赤色悪露 |
| ③産褥3日 | 臍下3横指 | 赤色悪露 |
| ④産褥5日 | 臍と恥骨結合の中央 | 褐色悪露 |
| ⑤産褥10日ごろ | 腹壁から触れなくなる | 黄色悪露 |
参考: 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン産科編」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について