第108回 看護師国家試験 午前 問111 解説
📝 問題
Aさん(30歳、初産婦、会社員)は、夫と2人暮らし。妊娠38週6日で3,200gの児を正常分娩した。分娩後から母児同室を開始しており、母乳育児を希望している。 産褥4日。Aさんは乳頭を児にうまくくわえさせられず「上手におっぱいがあげられない。退院してからも続けていけるか心配です」と言う。Aさんの乳房からは移行乳の分泌がみられる。児の体重は3,040g、排尿は5回/日、排便は4回/日である。 Aさんへの授乳時のアドバイスとして、適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ 適切な吸着(ラッチオン)のため、児の舌の上に乳頭がのるようにくわえさせ、大きく口を開けたタイミングでくわえさせる。
母乳育児で乳頭をうまくくわえさせられないときは、深くくわえさせる介助(ラッチオン)が要になる。 児が大きく口を開けた瞬間に、乳頭が児の舌の上にのり、乳輪部まで深く含めるようにくわえさせる。 こうすると効果的に吸啜でき、乳頭の傷も防げる。
残る3つは、吸着かタイミングのどちらかを妨げる。 時刻で3時間ごとと決めるより、児が欲しがるサインに合わせる自律授乳のほうが母乳の確立に向く。 泣き出してからでは落ち着いてくわえられないので、口をもぐもぐする早いサインで授乳する。 児を前屈姿勢にすると深くくわえられず、児の体を母親に向き合わせて密着させる姿勢が基本である。
ラッチオンとは
児が乳頭だけでなく乳輪まで深くくわえること。浅いと乳頭が傷つき、母乳も出にくくなる。
- 1
3時間ごとに授乳させる。不正解
時間を区切って3時間ごとに授乳するより、児の欲しがるサインに合わせた自律授乳が母乳確立には望ましい。
- 2
児が前屈姿勢になるように支える。不正解
児を前屈姿勢にすると深い吸着が得にくく、児の体を母親に密着させ向き合わせる姿勢が適切である。
- 3
児が啼泣している時に授乳させる。不正解
激しく啼泣してからでは落ち着いてくわえにくく、啼泣前の早めの授乳サインを捉えて授乳するのが望ましい。
- 4
児の舌の上に乳頭がのるようにくわえさせる。正解
児の舌の上に乳頭がのるようにくわえさせると、乳輪部まで深く含めて効果的に吸啜できる。これが適切なラッチオンである。
- 5
児が大きく口を開けたタイミングで乳頭をくわえさせる。正解
児が大きく口を開けたタイミングでくわえさせると深く吸着でき、乳頭の損傷も防げる。
📚 ここも一緒におさえておこう
授乳がうまくいかないときは、吸着(ラッチオン)と姿勢(ポジショニング)を分けて観察する。
- 適切な吸着のサインは、口が大きく開き、下唇が外向きに反り、乳輪の下側がより多く含まれていること
- あごが乳房に触れ、鼻はわずかに離れている。頬にえくぼ(陥凹)ができていない
- ゆっくり深い吸啜と嚥下音が聞こえ、母親に強い疼痛がない
- 姿勢の基本は、児の耳・肩・腰が一直線で、児の体全体を母親に向けて密着させること
- 授乳は時刻で区切らず、児の欲しがるサイン(口をもぐもぐする、手を口に持っていく)に合わせる自律授乳が基本
- 啼泣は遅いサインで、泣き出す前に授乳するほうが落ち着いてくわえられる
参考: 日本助産師会 資料/WHO/UNICEF『母乳育児成功のための10ステップ』
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について