第108回 看護師国家試験 午前 問103 解説

状況設定小児看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aちゃん(1歳6か月、男児)は、5日前から発熱し、自宅近くのかかりつけ医に通院していたが解熱せず、昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂が出現したため入院した。診察では、体幹の発疹と手足の浮腫もあり、川崎病および脱水症と診断された。Aちゃんに対し、点滴静脈内注射による脱水症の治療が開始され、左手掌から前腕までシーネで固定された。Aちゃんは機嫌が悪く、両手をバタバタと上下に動かしながら泣いている。左手背の留置針刺入部には、腫脹や発赤はない。 Aちゃんに対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ 点滴による安静・固定を強いられて泣く1歳児には、遊びなどで気をそらす工夫が最も適切である。

1歳6か月の幼児は言葉での理解がまだ十分でなく、点滴やシーネ固定による拘束感と不快から機嫌が悪く泣いている。 留置針の刺入部に腫脹や発赤がなく、点滴そのものの異常を示す所見はない。 この時期の子どもには、絵本・玩具・あやしなど発達に応じたもので注意を別へ向け、不快や不安を和らげるディストラクション(気そらし)が最も適切である。

他の3つは、この年齢の子どもには届かないか、かえって危ない。 抑制は最終手段で、刺入部に異常のない今の段階では選ばない。 言葉による説明はまだ理解が難しく、ラインを短くすると体動のたびに引っぱられて自己抜去を招きかねない。

  • 1

    四肢の抑制を行う。不正解

    抑制は安全確保の最終手段であり、刺入部に異常のない段階で四肢を抑制する理由はない。

  • 2

    気をそらすよう工夫する。正解

    1歳児には遊びやあやしで注意をそらし不快・不安を和らげる関わりが発達段階に即しており、最も適切である。

  • 3

    点滴静脈内注射のラインを短くする。不正解

    ラインを短くすると体動時にかえって自己抜去や事故のリスクが高まりうる。

  • 4

    点滴静脈内注射の必要性を説明する。不正解

    1歳児に点滴の必要性を言葉で説明しても理解は難しく、この場面での有効な対応ではない。

📚 ここも一緒におさえておこう

小児の処置に伴う苦痛の緩和には、発達段階に応じたプレパレーション(心の準備を促す説明)と、気そらしを組み合わせる。

  • 身体抑制は他に代替手段がない場合に限り、必要最小限・一時的に行い、理由と方法を家族に説明して同意を得る
  • 点滴刺入部は、腫脹・発赤・疼痛・漏れがないかを定期的に観察する
発達段階に応じた関わりの工夫
時期有効な関わり
①乳児期抱っこ、おしゃぶり、あやし、ゆっくりした声かけ、養育者がそばにいること
②幼児前期(1〜3歳)好きな玩具・絵本・音楽・シャボン玉など具体物で注意をそらす。説明は処置の直前に短く
③幼児後期(3〜6歳)人形や絵を使った説明、深呼吸、頑張りを認めるごほうび表
④学童期処置の目的と手順を言葉で説明し、選べる部分は本人に選ばせる
⑤思春期プライバシーを守り、本人の意思決定を尊重する

参考: 医療情報科学研究所編『病気がみえる 小児科』/日本小児看護学会 資料

出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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