第107回 看護師国家試験 午後 問46 解説
📝 問題
下垂体腺腫について正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 下垂体腺腫の代表的な外科治療は、経鼻的な経蝶形骨洞法による下垂体切除術である。
下垂体腺腫の代表的な外科治療は、鼻から蝶形骨洞を通って腫瘍に到達する経蝶形骨洞下垂体腫瘍摘出術(Hardy〈ハーディ〉手術)である。 開頭を要さず、低侵襲で行える。 下垂体はトルコ鞍の中にあり、腫瘍が大きくなって視神経交叉が圧迫されると、両耳側半盲という視野障害が起こる。
他の選択肢は、腫瘍の種類や所見が違う。 褐色細胞腫は副腎髄質などにできる腫瘍である。 トルコ鞍は、腫瘍が大きくなると狭くなるのではなく広がる。 視野障害は、同名半盲ではなく両耳側半盲である。
下垂体腺腫は、ホルモンを過剰に出す機能性と、出さない非機能性に分けられる。機能性のうち多いのはプロラクチン産生腫瘍である。
トルコ鞍とは
頭蓋骨の底にある、下垂体がはまり込んだくぼみ。馬のくら(鞍)に似た形からこう呼ばれる。
両耳側半盲とは
左右の目とも、外側(耳側)の視野が欠ける状態。視神経が交わるところが下から押されて起こる。
- 1
褐色細胞腫が最も多い。不正解
褐色細胞腫は副腎髄質などに生じるカテコールアミン産生腫瘍で、下垂体腺腫とは異なる。下垂体腺腫ではプロラクチン産生腫瘍が多い。
- 2
トルコ鞍の狭小化を認める。不正解
腫瘍が大きくなるとトルコ鞍は拡大することがあり、狭くはならない。
- 3
典型的な視野障害として同名半盲がある。不正解
視交叉が圧迫されるため典型的な視野障害は両耳側半盲であり、同名半盲ではない。
- 4
代表的な外科治療として経鼻的な経蝶形骨洞法による下垂体切除術がある。正解
経鼻的な経蝶形骨洞法による下垂体切除術(Hardy手術)が下垂体腺腫の代表的な外科治療である。
📚 ここも一緒におさえておこう
下垂体腺腫は、症状を「ホルモンの出しすぎ」と「腫瘍による圧迫」の2つに分けて問われる。どちらの症状かを見分け、術後の観察項目とセットで覚えよう。
- 視交叉が下から圧迫されるため、視野障害は両耳側半盲になる(同名半盲は視交叉より後方の障害)
- 術後合併症:尿崩症(多尿・低比重尿・口渇。尿量・尿比重・水分出納・電解質を観察する)、髄液鼻漏(鼻をかまない・強くいきまない)、下垂体機能低下(ホルモンの補充)
- 経蝶形骨洞法は開頭を要さず低侵襲だが、術後の鼻出血・感染(髄膜炎)に注意する
| 腫瘍 | 過剰ホルモン | 主な症状 | 主な治療 |
|---|---|---|---|
| プロラクチン産生腫瘍 | プロラクチン(PRL) | 無月経・乳汁漏出、不妊、男性では性欲低下 | ドパミン作動薬(カベルゴリンなど)が第一選択 |
| 成長ホルモン産生腫瘍 | 成長ホルモン(GH) | 先端巨大症(手足の肥大、下顎前突、巨大舌)、耐糖能異常、高血圧 | 手術(経蝶形骨洞法) |
| ACTH産生腫瘍 | ACTH | Cushing(クッシング)病(中心性肥満、満月様顔貌、皮膚線条、高血圧、高血糖、骨粗鬆症) | 手術 |
| 非機能性腺腫 | — | 圧迫症状(両耳側半盲、頭痛、下垂体機能低下) | 手術 |
参考: 脳神経外科 標準テキスト
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について