第107回 看護師国家試験 午後 問42 解説

一般成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

成人男性に対する全身麻酔下の膵頭十二指腸切除術が9時に開始されてから40分間の経過を表に示す。 〔9時00分〕体温37.0℃、心拍数76/分、血圧126/76mmHg、尿量30/30mL、出血量0/0mL 〔9時20分〕体温36.1℃、心拍数80/分、血圧132/76mmHg、尿量35/65mL、出血量5/5mL 〔9時40分〕体温35.4℃、心拍数96/分、血圧108/68mmHg、尿量15/80mL、出血量25/30mL 9時40分の時点で、間接介助の看護師が医師に確認の上、実施することとして適切なのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 進行する低体温に対して、加温マットの設定温度を上げるのが適切である。

経過表をみると、体温が37.0℃→36.1℃→35.4℃と下がり続けている。 全身麻酔下の長い手術に伴う低体温が進んでいる。 低体温は覚醒遅延・シバリング・凝固能の低下・術後感染につながるため、加温マットの温度を上げるなど、積極的に温める。

他の選択肢は、この時点での優先度が低い。 出血量は40分で計30mLにとどまり、輸血の準備を急ぐ段階ではない。 血圧はやや下がっているが、ショック体位をとるほどの循環の破綻ではない。 体温が下がり続けている場面で、次の尿量測定を40分後まで延ばすことはできない。

周手術期の問題では、値そのものより変化の向きを読む。

シバリングとは

体温が下がったときに起こる、体の小刻みなふるえ。熱を作ろうとして起こり、酸素の消費量が増える。

  • 1

    輸血を準備する。不正解

    出血量は増加傾向だが40分で計30mL程度であり、この時点で輸血準備を最優先する状況ではない。

  • 2

    下半身を心臓より高くする。不正解

    血圧はやや低下しているが、下半身を挙上するほどの循環の破綻には至っていない。

  • 3

    加温マットの設定温度を上げる。正解

    体温が37.0℃から35.4℃へ下がり続けており、低体温への対応として加温マットの温度を上げるのが適切である。

  • 4

    次の尿量測定を40分後に実施する。不正解

    体温低下が進み、循環の観察も必要な状況で、尿量測定を40分後まで先延ばしにはできない。

📚 ここも一緒におさえておこう

全身麻酔中は体温調節が働かなくなり、体温が大きく動く。低体温がいつ・なぜ起きるかを、逆に体温が急上昇する悪性高熱症と対にして覚えよう。

  • 麻酔導入後は末梢の血管が広がり、中枢の熱が末梢へ移る再分布性低体温が起こる。最初の1時間で急速に進む
  • 低体温の影響:シバリング(酸素消費量の増加)、覚醒遅延、薬物代謝の遅延、凝固障害と出血量の増加、手術部位感染〈SSI〉の増加
  • 対策:温風式加温装置を使う、輸液・輸血を温める、室温を調整する、術野以外の露出を最小限にする
  • 術中は体温・心拍・血圧・尿量・出血量・呼気終末CO2を経時的に観察し、変化の方向で判断する
  • 悪性高熱症は揮発性吸入麻酔薬・スキサメトニウムが誘因。急激な体温上昇・筋硬直・頻脈・呼気CO2上昇をきたし、治療薬はダントロレン

参考: 周術期体温管理 関連ガイドライン

出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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