第107回 看護師国家試験 午後 問118 解説
📝 問題
次の文を読み118、119の問いに答えよ。 A さん(34歳、経産婦)は、夫(35歳)と長男の B 君(3歳)との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480mLであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。 A さんは翌日の3時に尿意があり、自然排尿があった。8時に「昨夜は後陣痛の痛みが強くて眠れませんでした。おっぱいを飲ませたら、後陣痛がさらに強くなって、汗が出てきました」と言う。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられる。A さんのバイタルサインは、体温37.0℃、脈拍68/分、血圧125/70mmHgであった。 このときの A さんへの対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 授乳のたびに後陣痛が強く睡眠が妨げられているため、鎮痛薬使用を医師に相談することを伝える対応が適切である。
後陣痛は子宮が元に戻る(復古する)ときの収縮に伴う痛みで、経産婦や授乳中に強く出やすい。授乳でオキシトシンが出ると子宮の収縮が進むためである。 Aさんは後陣痛で眠れず、授乳のたびに痛みが増して発汗もある。 一方、子宮底臍高・硬く触れ・血性悪露中等量とバイタルサインも安定しており、子宮復古は順調で異常出血の徴候はない。 眠れないほどの痛みには、鎮痛薬の使用を医師に相談することを伝えて休息を確保する。
他の3つは、いまの痛みを和らげない。授乳は後陣痛をさらに強め、浴槽での入浴は産褥早期には早く、骨盤底筋体操は尿失禁を防ぐための運動である。 後陣痛は生理的なものだが、睡眠を妨げるほど強ければ鎮痛を図る。
悪露とは
分娩のあと子宮から出てくる分泌物。はじめは血が混じった赤色で、日がたつにつれて色が薄くなっていく。
- 1
授乳を促す。不正解
授乳はオキシトシン分泌で子宮収縮を促し後陣痛を強めるため、痛みが強いこの場面の第一対応ではない。
- 2
入浴を勧める。不正解
産褥早期の浴槽入浴は感染などの心配があり、この時期はシャワー浴とする。
- 3
骨盤底筋体操を指導する。不正解
骨盤底筋体操は尿失禁予防などの指導であり、後陣痛への対応にはならない。
- 4
鎮痛薬の使用を医師に相談することを伝える。正解
睡眠を妨げるほどの強い後陣痛には、鎮痛薬使用を医師に相談することを伝え痛みを緩和するのが適切である。
📚 国試でよく狙われるところ
産褥期は子宮復古の経過と悪露の変化が日数で問われる。後陣痛は経産婦や授乳のときに強く出やすい。
- 子宮復古不全では子宮が柔らかく大きいまま、赤色悪露が遷延する
- 子宮が硬く触れ悪露が正常なら復古は順調で、強い痛みには鎮痛薬の使用を検討する
- 授乳によるオキシトシン分泌は子宮収縮を促し、復古を助ける一方で後陣痛を強める
| 時期 | 子宮底の高さ | 悪露 |
|---|---|---|
| 分娩直後 | 臍下2〜3横指 | 赤色悪露 |
| 分娩12時間後 | 臍高(やや上昇) | 赤色悪露 |
| 産褥3日 | 臍下2〜3横指 | 赤色悪露(〜産褥3日ごろ) |
| 産褥5日 | 臍と恥骨結合上縁の中間 | 褐色悪露(産褥4〜9日ごろ) |
| 産褥10日 | 腹壁から触知できない | 黄色悪露(産褥10日ごろ〜) |
産褥3〜4週ごろには白色悪露となり、6週ごろまでに消失する。
参考: 日本助産師会「助産業務ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について