第107回 看護師国家試験 午後 問112 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。 A さん(76歳、女性)。夫(74歳)と2人暮らし。6年前にParkinson〈パーキンソン〉病と診断された。現在、Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージⅢ、要介護1である。トイレと浴室には手すりが設置されている。レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。最近、足がすくむことが増えたため受診した。A さんは主治医から「薬剤の効果を評価するために、服薬時間や生活の状況を日誌に記録しましょう。2週後にまた受診してください」と説明を受けた。 外来看護師が日誌に記録する内容を A さんに指導することになった。 日誌に記録する内容で最も重要なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ レボドパの薬効評価のための日誌で最も重要なのは、パーキンソン病の主徴である振戦の有無の記録である。
パーキンソン病の薬物療法では、レボドパの効果を確かめるために、服薬の時間と症状の日内変動を記録する。 日誌に書く内容として最も重要なのは、運動症状に直結する振戦の有無である。 振戦やすくみが服薬後にどう変わるかを書き残すと、オン・オフ現象やウェアリングオフがつかめ、用量や服薬回数の調整に役立つ。
食事量・便の性状・排尿回数もパーキンソン病では問題になりうるが、薬が効いている時間を映す指標ではない。 日誌の目的は「薬剤の効果を評価すること」なので、薬効に直結する運動症状の変動を選ぶ。
ウェアリングオフとは
レボドパの効き目が続く時間がだんだん短くなり、次の服薬の前に症状が戻ってくる現象。長く飲み続けるうちに起こる。
- 1
食事の量不正解
食事量は栄養管理上は重要だが、レボドパの薬効を直接評価する最重要指標ではない。
- 2
便の性状不正解
便の性状は便秘対策として意味はあるが、薬効評価の日誌で最も重要な項目ではない。
- 3
振戦の有無正解
振戦の有無はパーキンソン病の主症状で、服薬に伴う変動を記録することで薬効評価に最も役立つ。
- 4
排尿の回数不正解
排尿回数は自律神経症状の把握には有用だが、レボドパの薬効評価の最重要指標ではない。
📚 ここも一緒におさえておこう
パーキンソン病は中脳黒質のドパミン神経の変性により、四大徴候を呈する神経変性疾患である。
- 四大徴候=安静時振戦・筋強剛(固縮)・無動/寡動・姿勢反射障害
- 長期のレボドパ療法ではウェアリングオフ(薬効時間の短縮)・オンオフ現象・ジスキネジアが出現する
- 自律神経症状(便秘・起立性低血圧・排尿障害)やうつ・睡眠障害などの非運動症状も伴う
| ステージ | 状態 |
|---|---|
| Ⅰ度 | 症状は一側性で、機能障害はないか軽微 |
| Ⅱ度 | 症状は両側性だが、姿勢反射障害はない |
| Ⅲ度 | 姿勢反射障害があるが、日常生活は自立している |
| Ⅳ度 | 起立・歩行など日常生活に部分的な介助を要する |
| Ⅴ度 | 車椅子または寝たきりで、全面的な介助を要する |
ステージⅢ以上かつ生活機能障害度Ⅱ度以上が、指定難病の医療費助成の対象の目安となる。
参考: 日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について