第107回 看護師国家試験 午前 問99 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、右の上腕骨近位部骨折と診断され入院した。Aさんは入院後7日で退院し、介護老人保健施設に入所した。現在はリハビリテーションを行っている。 退所後の再転倒を予防するためのAさんへの指導で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 転倒予防には下肢の筋力・可動性を保つため、足関節の底背屈運動をすることが適切である。
高齢者の転倒は、足関節の可動域と下肢筋力の低下によるつまずきやすさが一因となる。 足関節の底背屈運動は下腿筋のポンプ作用と足関節の柔軟性を保ち、歩行時のつまずき防止や踏ん張る力の維持に役立つ。 廃用を進めないためにも、適度な活動・運動を続けることが重要である。
転倒予防の指導は「活動性を保ちつつ、環境と薬剤のリスクを減らす」視点で選ぶ。 家に閉じこもると廃用が進み、かえって転倒しやすくなる。歩幅を小さくして小刻みに歩くとすり足になり、つまずきやすい。 就寝前に睡眠薬を飲むと、夜間のふらつきが増えて転倒しやすくなる。 機能を維持する運動だけが、積極的な予防策として妥当である。
底背屈とは
足首を、つま先を下げる向き(底屈)と、上に反らす向き(背屈)に動かすこと。
- 1
家の中で過ごす。不正解
家の中に閉じこもると活動量が低下して廃用が進み、下肢筋力の低下からかえって転倒しやすくなる。
- 2
歩幅を小さくして歩く。不正解
歩幅を小さくするとすり足傾向となり、かえってつまずきやすい。
- 3
足関節の底背屈運動をする。正解
足関節の底背屈運動は下肢筋力と足関節可動域を保ち、つまずき防止に役立つため転倒予防として適切である。
- 4
就寝前に睡眠薬を内服する。不正解
就寝前の睡眠薬は夜間のふらつきや転倒のリスクを高めるため、予防目的に安易に勧めるべきでない。
📚 ここも一緒におさえておこう
一度転倒した高齢者は再転倒しやすく、転倒への恐怖から活動を控えると廃用が進む悪循環に陥る。 筋力・バランス訓練、環境整備、薬剤の見直しを組み合わせて予防する。
| 区分 | 主な因子 |
|---|---|
| 内的因子 | 加齢による下肢筋力低下・バランス障害、視力低下、認知機能低下、めまい、頻尿・失禁、麻痺、転倒歴 |
| 薬剤 | 睡眠薬・抗不安薬(特にベンゾジアゼピン系)、抗精神病薬、降圧薬、利尿薬、血糖降下薬 |
| 外的因子 | 段差・敷居、電気コード、滑りやすい床、暗い照明、履物、身体に合わない杖や車椅子、手すりの不足 |
参考: 日本老年医学会 高齢者の転倒予防ガイドライン/医療情報科学研究所編『老年看護学』
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について