第107回 看護師国家試験 午前 問51 解説
📝 問題
Aさん(80歳、女性)。大腿骨頸部骨折のため人工骨頭置換術を受けた。手術後14日、Aさんの経過は順調で歩行訓練を行っている。歩行による疼痛の訴えはない。現在のAさんの状態で最も注意すべきなのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 人工骨頭置換術後の患者で最も注意すべきは股関節脱臼である。
大腿骨頸部骨折に対する人工骨頭置換術(後方アプローチが多い)では、術後に股関節脱臼が起こりやすい。 特に深く曲げる・内転・内旋する動作(低い椅子・和式トイレ・脚を組むなど)でリスクが高く、手術後14日で歩行訓練が進んでいる本問の時期に最も注意すべきはこの脱臼である。
他の選択肢は、いずれも術直後から早期に注意すべき合併症である。せん妄・創部感染・深部静脈血栓症は、経過が順調で疼痛なく歩行できている術後14日の時点では最優先ではなく、この時期は脱臼予防の姿勢・動作の指導が中心となる。
後方アプローチとは
股関節の後ろ側を切開して人工骨頭を入れる手術のしかた。後ろの筋肉や関節包がゆるむため、深く曲げて内側にひねる動きで脱臼しやすい。
- 1
せん妄不正解
せん妄は術直後の高齢者で注意するが、経過良好な術後14日の時点で最も注意すべき問題ではない。
- 2
創部感染不正解
創部感染は術後早期に注意する合併症で、経過が順調な術後14日で最優先の注意対象とはいえない。
- 3
股関節脱臼正解
人工骨頭置換術後は、過度の屈曲・内転・内旋で股関節脱臼を起こしやすく、歩行訓練期に最も注意すべき合併症である。
- 4
深部静脈血栓症不正解
深部静脈血栓症は術後早期の臥床時に注意すべきで、歩行訓練が進む術後14日では最優先ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
人工骨頭置換術後は、どの動きが脱臼につながるかが繰り返し問われる。アプローチごとの避ける肢位と、それを避けるための工夫をひと組で覚えよう。 大腿骨頸部骨折は高齢女性に多く、骨粗鬆症と転倒が背景にある。早期離床が原則で、深部静脈血栓症・肺炎・褥瘡・せん妄といった合併症や廃用の予防も重要となる。
- 後方アプローチでの脱臼肢位=股関節の過屈曲(90度以上)・内転・内旋。前方アプローチでは伸展・外旋に注意する。
- 避ける動作=低い椅子・和式トイレ・床の物を拾う・靴下を履く・横座り・脚を組む。
- 自助具(ソックスエイド・リーチャー・長柄の靴べら)や、洋式トイレ・高めの椅子の使用を指導する。
- 臥床時は外転枕(開排枕)を用い、患肢を外転中間位に保つ。
参考: 系統看護学講座 成人看護学 運動器
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について