第106回 看護師国家試験 午後 問62 解説
📝 問題
Aさん(27歳、男性)は、地震によって倒壊した建物に下腿を挟まれていたが、2日後に救出された。既往歴に特記すべきことはない。注意すべき状態はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 長時間の圧迫から救出された直後に注意すべきなのは高カリウム血症である。
筋肉が長い時間押しつぶされると、その部分の筋細胞が壊れる。救出して圧迫が解けると、たまっていたカリウムやミオグロビンが一気に血液へ流れ出す。これがクラッシュ症候群(挫滅症候群)である。
血液中のカリウムが急に増えると心臓の動きが乱れ、致死性不整脈から心停止に至ることがある。救出した直後に急変するのはこのため。 ミオグロビンは腎臓の尿細管に詰まり、急性腎障害を起こす。
予防のかなめは輸液である。がれきの下にいるうちから大量の輸液を始め、カリウムを薄めて尿量を保つ。
ミオグロビンとは
筋肉のなかで酸素をたくわえるタンパク。筋肉が壊れると血液へ出て、腎臓の尿細管に詰まり、尿を赤褐色にする。
- 1
尿崩症不正解
尿崩症は抗利尿ホルモンが足りずに薄い尿が大量に出る病気で、頭部外傷や下垂体の病変で起こる。筋肉の圧迫では生じない。
- 2
高カリウム血症正解
壊れた筋細胞から出たカリウムが血液へ移り、血中濃度が上がる。心電図でテント状T波がみられ、心室細動を起こす危険がある。
- 3
低ミオグロビン血症不正解
逆。壊れた筋肉からミオグロビンが放出され、血液中も尿中も濃度が上がる。尿は赤褐色になる。
- 4
代謝性アルカローシス不正解
逆。筋の壊死と組織の酸素不足で酸が増え、代謝性アシドーシスに傾く。
📚 国試でよく狙われるところ
クラッシュ症候群は、起こりやすい条件と救出後の対応が問われる。圧迫が解けた瞬間から悪くなると覚えよう。
- 筋肉の多い下腿・大腿・臀部が長時間圧迫されたときに起こりやすい
- 救出する前から細胞外液の輸液を始め、救出後も尿量を保って腎臓を守る
- 血液検査では血清カリウムとクレアチンキナーゼが上がり、尿は潜血反応が陽性になる
参考: 日本救急医学会「医学用語解説集」挫滅症候群/災害看護学の標準的な教科書
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について