第106回 看護師国家試験 午後 問33 解説
📝 問題
患者の情報の取扱いについて正しいのはどれか。
✅ 正解
3・4
⚖️ 出題時に複数の選択肢が正解と認められた「複数正解(救済)」問題です。いずれか一つを選べば正解とされました。
💡 解説
✅ 利用目的が明確でも患者の情報の活用には制限があることと、転院先と情報を共有するには患者の同意が必要であることの、いずれも正答として扱われた。
患者の情報は個人情報であり、集めた側が自由に使ってよいものではない。 個人情報保護法は、利用目的をあらかじめ決めて本人に示すことを求めたうえで、目的の範囲を超えた利用と、本人の同意のない第三者提供を制限している。 利用目的をはっきりさせることは出発点にすぎず、それだけで制限が外れるわけではない。
転院先の病院は別の事業者なので、そこへ情報を渡すことは第三者提供にあたり、患者の同意が要る。 この2つはどちらを選んでも正解として扱われた。
本問の出題後、平成29年(2017年)5月に全面施行された改正個人情報保護法で、病歴などの健康に関する情報は要配慮個人情報と位置づけられ、取得にも原則として本人の同意が必要になった。
残る2つは前提が違う。看護師の守秘義務を定めているのは保健師助産師看護師法である。 統計として処理された情報は個人が分からない形になっており、そこから患者本人をたどることはできない。
第三者提供とは
自分の組織の外にいる相手へ個人情報を渡すこと。転院先の病院や他の事業者が相手になる場合をいい、原則として本人の同意が要る。
- 1
看護師の守秘義務は医療法で規定されている。不正解
看護師の守秘義務は保健師助産師看護師法に定められている。医療法は、病院や診療所の開設・管理・整備を扱う法律である。
- 2
統計的に処理された情報から患者個人を特定できる。不正解
逆。統計として処理された情報は個人を見分けられない形になっており、そこから患者を特定することはできない。
- 3
利用目的が明確であっても患者の情報の活用は制限される。正解
利用目的をはっきりさせることは、情報を集めるときの決まりごとである。決めた範囲を超えて使うことや、本人の同意なく外へ渡すことには、それとは別に制限がかかる。
- 4
転院先の病院と患者の情報を共有する場合は患者の同意が必要である。正解
転院先の病院への情報提供は第三者提供にあたり、原則として患者の同意を得る。診療情報提供書を渡すときも同じ考え方が働く。
📚 混同しやすいので注意
守秘義務は、どの法律が誰に課しているかと、いつまで続くかが問われる。職種と法律を対にして覚えよう。
- 看護師・保健師・准看護師の守秘義務は保健師助産師看護師法にあり、違反には罰則がある
- 助産師だけは刑法の秘密漏示罪で扱われ、医師や薬剤師と同じ枠に入る
- 守秘義務は資格をもたなくなったあとも続く
参考: 個人情報の保護に関する法律/厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について