第106回 看護師国家試験 午後 問110 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 訪問看護師は、Aちゃんの誤嚥性肺炎を予防するケアの方法を母親に指導することにした。 母親が行うAちゃんへのケアとして適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 母親が行うケアとしては、胸郭を他動的に動かして動きを保つ訓練が適切である。
Aちゃんは声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 ここが判断の分かれ目で、本人が言われたとおりに動くことを前提にした訓練は選べない。
四肢と体幹の運動障害で同じ姿勢が続くと、胸郭が硬くなって息が浅くなり、痰を出す力が落ちる。 母親が胸に手を当て、呼吸に合わせてゆっくり動かす他動的な胸郭可動域訓練なら、Aちゃんが指示に応じられなくても行える。胸郭の動きが保たれると換気が増え、痰が上がりやすくなる。
残る3つは、どれも本人の協力があってこそ成り立つ。腹式呼吸は自分で呼吸を意識する方法、咳嗽の訓練は合図に合わせて咳を出す方法、うがいは口に含んだ水を自分で吐き出す動作で、Aちゃんでは水分の誤嚥を招く。
- 1
腹式呼吸を促す。不正解
腹式呼吸は横隔膜を使って深く息を吸う練習で、本人が呼吸を意識して行う方法である。指示に応じられないAちゃんには行えない。
- 2
咳嗽の訓練を行う。不正解
咳嗽の訓練は、合図に合わせて強く咳をして痰を上げる練習で、これも本人の協力が要る。
- 3
胸郭可動域の訓練を行う。正解
母親の手で胸郭を動かして硬くなるのを防ぐ方法で、換気が増えて痰が出しやすくなる。
- 4
含嗽液を用いてうがいをさせる。不正解
うがいは口に含んだ水を自分で吐き出す動作で、飲み込みの障害がある子では水分をそのまま誤嚥する危険がある。口の中は歯ブラシと吸引で清潔にする。
📚 国試でよく狙われるところ
重症心身障害児の誤嚥性肺炎は、口の中・排痰・体の変形の3つから予防する。どれも家族が毎日できる形にして伝えよう。
- 口腔ケア=口の中の細菌が減ると誤嚥性肺炎が起こりにくくなる。歯ブラシと吸引で行う
- 排痰=痰のたまった側を上にする体位で太い気道へ移し、必要なら吸引する
- 体の変形=同じ姿勢が続くと側弯が進み、胸郭の動きがさらに落ちる。日中に姿勢を変える時間をつくる
参考: 系統看護学講座 小児看護学/系統看護学講座 在宅看護論
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について