第106回 看護師国家試験 午前 問67 解説
📝 問題
A君(6歳、男児)は、父母と姉との4人で暮らしている。3歳児健康診査で運動機能の発達の遅延を指摘され、5歳のときにDuchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィーの確定診断を受けた。現在は、床からの立ち上がり動作に介助が必要である。見守りが必要ではあるが、室内の歩行は自立している。在宅支援サービスは利用していない。A君の外来受診時に母親から「最近、Aの世話をしていると、8歳の姉が私にしがみついて離れないので困ります」と看護師に相談があった。このときの看護師の対応で最も優先されるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 居宅介護を利用して、母親が姉と関わる時間を確保することを提案する。
姉がしがみついて離れないのは、A君の世話に母親の手が取られ、自分に向けられる関心が減ったことへの反応と読める。 病気や障害のある子のきょうだいは、我慢を重ねて気持ちを出せなくなることがある。
必要なのは、母親が姉と向き合える時間をつくることである。 A君の家庭はまだ在宅支援サービスを使っていないので、障害者総合支援法の居宅介護で介護の手を借りれば、母親に余裕が生まれる。
残る3つは、姉の負担を増やすか、いま相談された困りごとから外れている。
居宅介護とは
障害者総合支援法にもとづくホームヘルプ。自宅で入浴・排泄・食事の介護や家事の援助を受けられ、障害のある子どもも利用できる。
- 1
姉の小学校の養護教諭に家庭訪問を依頼する。不正解
養護教諭への家庭訪問の依頼は、学校での様子に問題が出ている段階で考えることで、母親の相談への答えにはならない。
- 2
姉にA君の歩行の見守りをさせるよう勧める。不正解
A君の歩行の見守りを姉に任せると、姉の負担が増え、甘えられる時間はさらに減る。
- 3
短期入所を利用して父母と姉とで旅行するよう勧める。不正解
短期入所を使った旅行はA君を家族から離すことが前提になる。まず日常のなかで姉と過ごす時間をつくるほうが先である。
- 4
居宅介護を利用して母が姉と関わる時間を確保することを提案する。正解
介護の一部をホームヘルパーに任せることで、母親が姉と向き合う時間を確保できる。
📚 ここも一緒におさえておこう
慢性疾患や障害のある子の看護では、本人だけでなくきょうだいへの支援が問われる。親の関心が病児に向く分、きょうだいが何を我慢しているかを考えよう。
- きょうだいの気持ちは、退行(赤ちゃん返り)・体の不調・学校での問題行動といった形で表れる。
- きょうだいだけの時間をつくる、年齢に合わせて病気を説明する、同じ立場の子が集まるきょうだいの会につなぐ、といった支援がある。
- 在宅支援サービスを使って介護の手を増やすことは、本人のためだけでなく、家族全体の暮らしを保つ手立てになる。
参考: 障害者総合支援法(居宅介護)/小児看護学におけるきょうだい支援
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について