第106回 看護師国家試験 午前 問112 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん(23歳、女性)は、大学を卒業後、インテリア会社に事務職として就職した。入社後に「ユニフォームが似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にやせが目立つようになった。母親がAさんに食事を作っても「太るのが怖い」と言って食べず、体重は2週間で5kg減少した。心配した母親とともに精神科外来を受診し、摂食障害と診断され、開放病棟へ入院した。入院時、身長160cm、体重37kgであった。 入院から1週間の期間に観察すべき項目はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・2
💡 解説
✅ 入院から1週間の期間に観察すべきなのは、浮腫の程度と過食の有無である。
身長160cmに対して体重37kg、2週間で5kgの減少があり、神経性やせ症(以前は神経性食欲不振症とよばれた)が疑われる状態で入院した。 入院からの1週間は、治療として食事が再開される時期にあたる。
飢餓の続いた体に急に栄養が入ると、水分と電解質のバランスが崩れてリフィーディング症候群を起こす。 浮腫はその最初に目につく変化で、体重が増えたときにそれが浮腫によるものかを見分ける手がかりにもなる。
神経性やせ症では、食べないことと過食を行き来することがある。 入院して食事が始まると過食やそのあとの嘔吐が現れることがあり、食事の場面を時間を追って観察する。
残る3つは、この病気の見方と合わない。 体重を減らそうとして動き続けるのが特徴で、活動量はむしろ増える。 飲み込む働きそのものは保たれており、食べられないのは太ることへの恐れによる。 振戦せん妄はアルコールを断ったときに現れる離脱症状である。
リフィーディング症候群とは
長く飢えていた体に急に栄養を与えたときに起こる代謝の乱れ。低リン血症から不整脈や心不全をきたす。
- 1
浮腫の程度正解
低栄養による血液中のタンパクの不足と、食事の再開にともなう水分の貯留の両方で浮腫が出る。体重の増え方が浮腫によるものかを見分ける手がかりにもなる。
- 2
過食の有無正解
神経性やせ症では食べないことと過食を行き来することがあり、入院して食事が始まると過食や嘔吐が現れることがある。
- 3
活動量の低下不正解
逆。体重を減らすために動き続けるのが特徴で、低栄養でも活動量は増える。観察するのは活動量の増加のほうである。
- 4
嚥下障害の有無不正解
飲み込む働きそのものは保たれている。食べられないのは太ることへの恐れによるもので、嚥下障害とは別である。
- 5
振戦せん妄の有無不正解
振戦せん妄はアルコールを断ったときに起こる離脱症状で、手のふるえ・幻視・興奮がみられる。摂食障害の経過では現れない。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
神経性やせ症の症状は、飢餓に体が合わせようとした結果として並ぶ。「エネルギーを節約する体になる」と考えるとつながる。
- ホルモンの分泌が落ちて無月経になる。低体温・徐脈・低血圧も、エネルギーを使わないための変化である
- 体を冷えから守るため、背中や腕にうぶ毛が増える
- 嘔吐や下剤の乱用があると低カリウム血症を起こし、不整脈につながる
参考: 日本精神神経学会監修『DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』/医学書院『系統看護学講座 精神看護学』
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について