第106回 看護師国家試験 午前 問104 解説
📝 問題
次の文を読み103〜105の問いに答えよ。A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。A君の食事について看護師が母親に尋ねると「食べこぼしが多く、食べながらうとうとしてしまい時間がかかるし、十分な量も食べられていません」と話した。 A君の食事に関する母親への指導で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 口の中でまとまりやすいペースト食に変えてみるよう助言する。
A君はスプーンを使えるが食べこぼしが多く、食べながらうとうとして量も足りていない。原因は食べる意欲ではなく、きざみ食のまとまりにくさにある。 きざみ食は細かく刻んであるだけなので口の中でばらけ、飲み込める一つのかたまり(食塊)にまとめるのに舌の細かい動きがいる。脳性麻痺で口や舌が思うように動かないA君には負担が大きく、疲れて食べきれなくなる。
ペースト食なら初めからまとまっているので、少ない口の動きで飲み込める。1回に入る量も安定し、疲れる前に必要な量をとれる。
他の選択肢は今の段階では早い。口から食べられているので、経腸栄養剤の相談はまだ先になる。 ホームヘルパーを頼んでも、食べにくさそのものは変わらない。 時間で区切ると食べる量がかえって減るので、休憩を挟みながら食べられる形に整える。
- 1
「経腸栄養剤の開始について医師と相談しましょう」不正解
経腸栄養剤は口から十分に食べられなくなったときに検討する。A君はスプーンで食べられており、まず食事の形を工夫する。
- 2
「ホームヘルパーの依頼を検討しましょう」不正解
ホームヘルパーは家事や介護を担うが、食べにくさそのものは変わらない。食形態を見直すほうが先になる。
- 3
「食事時間を20分以内にしましょう」不正解
時間を区切ると、疲れやすい子どもは食べる量がかえって減る。休憩を挟み、無理のない範囲で続ける。
- 4
「ペースト食にしてみましょう」正解
ペースト食は口の中でまとまるので、少ない舌の動きで飲み込める。こぼれにくく、短い時間で必要な量をとれる。
📚 混同しやすいので注意
食事の形態は、きざみ食とペースト食のどちらが飲み込みやすいかを入れ替えて問われる。「刻んだだけでは飲み込みやすくならない」と覚えよう。
- きざみ食=かむ力が弱い人向け。細かいがまとまらず、口の中に残留して誤嚥の原因になることがある。
- ペースト食・ゼリー食=飲み込む力が弱い人向け。まとまってのどを通るので誤嚥しにくい。
- とろみをつけるとのどを通る速さがゆるやかになり、むせにくくなる。つけすぎるとかえって飲み込みにくい。
参考: 小児看護学テキスト(障害のある子どもの食事援助)/嚥下調整食の分類に関する成書
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について