第105回 看護師国家試験 午後 問86 解説
📝 問題
Aさん(63歳、男性)は、胃癌にて胃亜全摘出術後3か月目に誤嚥性肺炎で緊急入院した。食物の通過や排便は問題なかったが、食事摂取量が少なく、術前より体重が10 kg減少した。総義歯が外れやすく歯科を受診予定であった。Aさんの肺炎の原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・2
💡 解説
✅ 胃を切除したあとの消化管内容物の逆流と、外れやすい義歯が、Aさんの誤嚥性肺炎の原因として考えられる。
胃亜全摘出術では、食道と胃のつなぎ目にあった逆流を防ぐしくみが失われる。残った胃も小さいので、内容物が食道へ逆流しやすい。 横になっている夜間は、逆流したものが気管へ流れ込む不顕性誤嚥が起こる。
もう1つの手がかりが義歯である。3か月で10kg体重が減ると顎まわりの肉も落ち、総義歯が合わなくなって外れやすくなる。かめないので食べ物が塊のまま入り、口の中も清潔に保ちにくくなって細菌が増える。
食物の通過と排便に問題がなかったことから、通り道がふさがる病態は除ける。吻合部狭窄なら食べたものがつかえ、腸閉塞なら排便が止まる。消化吸収障害は体重減少や貧血の原因にはなるが、肺炎を直接には起こさない。
不顕性誤嚥とは
むせや咳が出ないまま、唾液や胃の内容物が少しずつ気管に入ってしまうこと。夜間の睡眠中に起こりやすい。
- 1
消化管内容物の逆流正解
胃を切除すると逆流を防ぐしくみが働かなくなる。夜間に逆流したものが気管へ流れ込むと誤嚥性肺炎になる。
- 2
義歯の不適合正解
体重が大きく減ると義歯が合わなくなる。かむ力が落ちて食塊が大きくなり、口の中の細菌も増えて誤嚥性肺炎につながる。
- 3
消化吸収障害不正解
胃切除後の消化吸収障害は体重減少や貧血、骨のもろさを招くもので、肺炎を直接起こす経路ではない。
- 4
吻合部狭窄不正解
吻合部狭窄ではつないだ部分が狭くなって食べたものがつかえる。Aさんは食物の通過に問題がなかった。
- 5
腸閉塞不正解
腸閉塞では排ガスと排便が止まり、腹痛と嘔吐が出る。Aさんの排便は問題がなかった。
📚 国試でよく狙われるところ
胃切除後の合併症は、いつごろ何が起こるかを入れ替えて問われる。食後すぐか2〜3時間後か、術後まもなくか年単位かで見分けよう。
- 早期ダンピング症候群は食後30分以内。動悸・発汗・腹痛が出る
- 後期ダンピング症候群は食後2〜3時間後。低血糖による冷汗・脱力が出る
- 内因子が作れなくなってビタミンB12を吸収できず、数年後に貧血が出る
- カルシウムと鉄の吸収も落ち、骨粗鬆症や鉄欠乏性貧血が年単位で進む
参考: 標準的な成人看護学(胃切除後の合併症)/標準的な老年看護学(誤嚥性肺炎の危険因子と口腔ケア)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について