第105回 看護師国家試験 午後 問113 解説

状況設定精神看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん(19歳、男性、大学生)は、実家近くのアパートに1人で暮らしている。ある日、線路沿いの道を裸足で歩きながら険しい表情でカッターナイフを振り回し、ぶつぶつと独り言を言い続けていたことから警察に保護された。Aさんは、警察から連絡を受けた両親とともに精神科病院を受診したが「自分は命を狙われている」、「この人たちは自分の親じゃない」と言い、医療者に対しても拒否的な態度をとっている。診察の結果、Aさんは統合失調症と診断された。Aさんの頭髪は乱れ、食事や睡眠がとれていない様子であったため、そのまま医療保護入院をすることになった。 Aさんの入院後2週が経過した。Aさんの母親が疲れた表情で「Aはまだ誰かに殺されるのではないかと怖がっています。Aはなぜこんな病気になったのでしょうか。親としてどのようにAに接したらよいか分かりません」と担当の看護師に相談してきた。 この時点でAさんの両親に勧めるのはどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ 病気の理解と接し方を学べる家族心理教育を勧めるのが最も適切である。

母親は疲れた表情で、病気の原因が分からないこと、どう接したらよいか分からないことを訴えている。Aさんの被害妄想はまだ続いており、母親は先の見通しを持てずにいる。 求められているのは面会や外出の機会ではなく、病気の理解と接し方である。

家族心理教育は、統合失調症の症状や経過、薬の役割、困ったときの対応を家族に伝え、同じ立場の家族どうしが体験を話し合う場をもつ取り組みである。 家族の負担と孤立感がやわらぎ、再発の予防にもつながる。

残る3つは、いまの母親の求めに合わない。毎日の面会は母親の負担を増やす。 同伴での外出は、症状が落ち着いてから検討する段階にある。 共同生活援助〈グループホーム〉の見学は、退院後の住まいを考えるときに行うもので、入院2週では早い。

家族心理教育とは

家族を対象に、病気の知識を伝える講義と、同じ立場の家族どうしで対応を話し合うグループとを組み合わせて行うプログラム。医療者が進行役を務める。

  • 1

    毎日の面会不正解

    毎日の面会は、すでに疲れている母親の負担をさらに増やす。面会の回数よりも、家族が病気を理解できる機会が先に必要である。

  • 2

    家族心理教育正解

    病気の経過や薬の役割、困ったときの対応を家族が学び、同じ立場の家族と話し合える場である。原因が分からない不安と、接し方の迷いの両方に応えられる。

  • 3

    Aさんとの同伴での外出不正解

    外出は症状が落ち着いてから、本人の状態をみて検討する。被害的な訴えが続く時期に勧めるものではない。

  • 4

    共同生活援助〈グループホーム〉の見学不正解

    共同生活援助〈グループホーム〉は、退院後に暮らす場の候補にあたる。住まいを考える段階で見学するもので、入院2週の時点では早い。

📚 ここも一緒におさえておこう

統合失調症の再発予防は、本人の服薬と家族の関わり方の両方から問われる。家族への支援も看護の対象だと覚えておこう。

  • 家族が批判や過度の巻き込みを向けやすい状態を感情表出〈EE〉が高いといい、再発しやすくなる
  • 家族心理教育や家族会では、同じ経験をもつ家族どうしが情報と気持ちを分かち合える
  • 服薬の継続が再発予防の柱で、飲み心地の悪さや副作用があるときは自己判断で中断する前に相談してもらう

参考: 系統看護学講座 精神看護学

出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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