第105回 看護師国家試験 午後 問107 解説
📝 問題
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。Aさん(28歳、女性、会社員)は、結婚後1年で夫と2人で暮らしている。仕事上の役割も増えている。次回月経予定日を2週過ぎても月経がみられないため、勤務先近くの産婦人科クリニックを受診した。月経周期は28日型で、最終月経は3月2日から4日間であった。診察の結果、妊娠と診断された。 Aさんは医師から妊娠していると説明を受けた。Aさんは看護師に「初めての妊娠でうれしい。でも、任されている大きなプロジェクトが続けられなくなるため悲しくて、妊娠しなければよかったと思います」と話す。 この時期のAさんの心理状態で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 妊娠を喜ぶ気持ちと悔やむ気持ちが同時にある、アンビバレント〈両価的〉な感情である。
Aさんは「うれしい」と「妊娠しなければよかった」を同じ場面で口にしている。相反する2つの気持ちが同時にある状態がアンビバレント〈両価的〉な感情である。 妊娠初期にはこの揺れが多くの女性に起こる正常な反応で、Aさんも仕事上の役割が増えている時期に妊娠が分かり、母親になる喜びと役割を手放す戸惑いが重なっている。 気持ちを否定せず、そのまま受け止める関わりが求められる。
残る3つは、いまのAさんの状態と合わない。錯乱は思考がまとまらず話の筋が通らなくなる状態で、Aさんは自分の気持ちを順序立てて話せている。 他罰的な感情は自分のつらさを他人のせいにして責めるもので、Aさんは誰も責めていない。 マタニティブルーズは出産後に現れる気分の変動で、妊娠初期のものではない。
アンビバレント〈両価的〉とは
1つのものごとに対して、うれしいと悲しい、好きと嫌いのように相反する気持ちが同時にあること。どちらかが嘘なのではなく、両方とも本当の気持ちである。
- 1
錯乱状態である。不正解
錯乱は意識が混乱して思考がまとまらず、話の筋が通らなくなる状態。Aさんは自分の気持ちを順序立てて説明できている。
- 2
他罰的な感情がある。不正解
他罰的な感情は、自分のつらさの原因を他人に求めて責めるもの。Aさんが戸惑っているのは自分の気持ちの揺れであって、誰かを責めてはいない。
- 3
マタニティブルーズである。不正解
マタニティブルーズは妊娠中の心理を指す言葉ではなく、出産後に一過性に現れる気分の変動をいう。
- 4
アンビバレント〈両価的〉な感情がある。正解
妊娠を喜ぶ気持ちと、仕事の役割を手放す悲しさが同時にある。妊娠初期に多くみられる両価的な感情にあたる。
📚 混同しやすいので注意
産後の気分の変化は、マタニティブルーズと産後うつ病を入れ替えて問われる。始まる時期と続く長さで見分けよう。
- マタニティブルーズは産後3〜5日ごろに始まり、10日ほどで自然に治まる。涙もろさ・気分の変動・不安が中心
- 産後うつ病は産後数週から数か月に現れ、2週間以上続く抑うつで治療が必要になる
- エジンバラ産後うつ病質問票は、産後の抑うつを早く見つけるために健診の場で使われる
参考: 医療情報科学研究所編『病気がみえる 産科』/系統看護学講座 母性看護学
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について