第105回 看護師国家試験 午後 問102 解説
📝 問題
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。Aさん(81歳、女性)は、6年前にレビー小体型認知症と診断された。Aさんは雨の中を1人で外出して自宅に戻れなくなり、同居している娘に発見された。その夜、娘が話しかけたときのAさんの反応が鈍くなったため、かかりつけの病院を受診し、細菌性肺炎と診断され入院した。呼吸器疾患の既往はない。 入院後7日、症状が軽快し明日退院することが決まった。消灯前にAさんが部屋にいないため探すと、小刻みにすり足で歩いているところを発見した。看護師がどうしたのか質問すると「そこに小さい子どもがいるので見に行きたい」と、思いつめた表情で話した。 このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 行きたいと話す場所へ付き添い、一緒に確かめる。
Aさんは小刻みにすり足で歩いており、レビー小体型認知症のパーキンソン症状で転倒しやすい。 そのうえで、実際にはいない子どもの姿が見えて(幻視)、思いつめた表情で話している。
このとき有効なのは、看護師が付き添い、一緒に行くことである。 そばにいれば転倒を防げるうえ、Aさんは自分の目でその場を確かめられ、気持ちが落ち着きやすい。
残る3つは、Aさんの体験を受けとめていない。 危険を説明しても行きたい気持ちは残り、目を離した隙に1人で歩き出す。 子ども時代の話題に移すのは、いま見えているものへの不安から離れてしまう。 子どもが行ってしまったと伝えるのは事実と違う説明で、次から打ち明けてもらえなくなる。
幻視とは
実際にはないものが、はっきりと見える症状。レビー小体型認知症では人や小動物、虫などが具体的に見えることが多い。
- 1
転倒の危険を説明する。不正解
転倒の危険を伝えるだけでは、見に行きたい気持ちは残る。1人で歩き出す危険がむしろ高まる。
- 2
行きたい場所へ付き添う。正解
付き添えば転倒を防ぎながら、Aさん自身がその場を確かめられる。訴えを否定せずに落ち着きを取り戻せる。
- 3
子ども時代の思い出を尋ねる。不正解
思い出を尋ねるのは話題をそらす関わりで、いま見えているものへの不安には届かない。
- 4
子どもはどこかへ行ってしまったと説明する。不正解
事実と違う説明でその場を収める関わりである。あとで食い違いに気づくと、看護師に打ち明けなくなる。
📚 ここも一緒におさえておこう
幻視への関わりは、「否定する」と「話を合わせる」の両方が誤りとして並ぶ。体験は否定せず、事実と違うことも言わない、と覚えよう。
- まず共感して訴えを受けとめる。「怖かったですね」と気持ちにこたえる
- 一緒に見に行く、部屋を明るくする、見間違いのもとを片づけるなど環境で対応する
- 否定もうそも避ける。見えたことは受けとめたうえで、安全を確かめる
参考: 系統看護学講座 老年看護学/厚生労働省「認知症施策推進大綱」
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について