第105回 看護師国家試験 午前 問115 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。Aさん(42歳、女性)は、2年前に筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉の確定診断を受けた。夫(50歳)と長女(16歳)と自宅で過ごしている。Aさんは「なるべく口から食べるようにしたい」と話し、食事と併せて胃瘻から栄養剤の注入を行っている。要介護2の認定を受け、訪問看護および訪問介護を利用している。食事の介助を行う夫から、訪問看護師に「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と相談の電話があった。 夫に対する訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ 飲み込みの状態に応じた食事を一緒に考えると伝えるのが最も適切である。
筋萎縮性側索硬化症は進行していく病気で、飲み込む力も少しずつ落ちる。うまく飲み込めないのは介助のしかたのせいではなく、病気が進んだサインである。
夫は自分の介助が悪いのかと責めている。 まず原因が介助にはないことを伝え、いまの飲み込みの状態を確かめたうえで、どんな形の食事なら食べられるかを一緒に考えていく。 Aさんは「なるべく口から食べたい」と話しており、その希望を保ちながら安全に食べる方法を探すことになる。
残る4つは、飲み込みの状態を確かめないまま原因や手段を決めている。 時間をかけても飲み込む力は戻らず、介助が悪いと返せば夫の自責を強める。栄養量の変更も宅配の利用も、状態をみてから話し合うことである。
筋萎縮性側索硬化症とは
体を動かす神経が少しずつ壊れ、手足の力・飲み込み・呼吸が失われていく進行性の病気。感覚は保たれ、知的なはたらきも多くは保たれる。
- 1
「食事の介助に時間をかけましょう」不正解
時間をかけても飲み込む力は戻らず、疲れて誤嚥しやすくなる。長引く食事はAさんにも夫にも負担になる。
- 2
「胃瘻からの栄養量を増やしましょう」不正解
胃瘻からの注入を増やすことは、口から食べたいというAさんの希望から遠ざかる。栄養量は状態をみて医師や管理栄養士と決める。
- 3
「介助方法に問題があるかもしれません」不正解
うまく飲み込めない原因は病気の進行にある。介助のせいだと返すと、夫の自責を強めてしまう。
- 4
「嚥下食の宅配サービスを頼んでみましょう」不正解
宅配サービスは選べる手段の1つだが、いまの飲み込みの状態を確かめないまま決めるものではない。
- 5
「飲み込みの状態に応じた食事を一緒に考えましょう」正解
進行に合わせて食事の形を変えれば、口から食べることを続けやすい。一緒に考えることは、介助を続けてきた夫を支えることにもなる。
📚 ここも一緒におさえておこう
筋萎縮性側索硬化症の在宅支援は、進行に合わせて何を変えるかで問われる。できないことを責めず、手段のほうを変えると覚えよう。
- 飲み込みが難しくなったら、とろみをつける・水分をゼリー状にするなど、まとまりやすい形にする
- 食事の姿勢は、あごを引いた前傾の座位にすると誤嚥しにくい
- 胃瘻を使っていても、少量を口から味わう楽しみのための摂取は続けられる
参考: 難病情報センター 筋萎縮性側索硬化症/在宅看護論テキスト(神経難病の療養支援)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について