第105回 看護師国家試験 午前 問103 解説
📝 問題
次の文を読み103〜105の問いに答えよ。Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛と診断された。他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。 受診時の観察項目で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 受診時に最も優先して観察するのは、便が出にくくなったことを示す腹部膨満である。
Aちゃんは肛門がない代わりに、腟の後ろにできた瘻孔から便を出している。 瘻孔は本来の肛門より細く、便が硬くなったり量が増えたりすると通りにくくなる。出せない便が腸にたまると腹部膨満が現れ、進むと腸閉塞になる。 生後5か月は離乳食が始まる時期で、便の性状が変わって詰まりやすくなる。
体重は順調に増え、他の奇形もない。手術までの間は、便が出ているかと腹部の張りをみることが観察の中心になる。
残る3つは、この時期のAちゃんで起こりやすい変化ではない。
鎖肛とは
生まれつき肛門が開いていない病気。便の出口が瘻孔として別の場所に開くことがある。
- 1
活気不正解
全身の状態をつかむ手がかりで、どの受診でもみる項目。腹部の張りより先に変化が出るものではない。
- 2
腹部膨満正解
瘻孔から便が出にくくなると腸に内容がたまり、腹部が張る。腸閉塞の始まりを知らせる所見になる。
- 3
腹部腫瘤不正解
腹部にかたまりを触れる所見で、腸重積や腎・副腎の腫瘍を疑うときに確かめる。鎖肛では通常みられない。
- 4
チアノーゼ不正解
酸素が足りないときに唇や爪が紫色になる所見。Aちゃんは他に奇形がなく、心臓や肺の問題は指摘されていない。
📚 混同しやすいので注意
鎖肛は高位と低位で手術も残る課題も変わる。直腸がどこで止まっているかで見分けよう。
- 低位は直腸が肛門の近くまで下りている型。会陰式肛門形成術で一度に治せることが多い。
- 高位は直腸が骨盤の高い位置で止まる型。まず人工肛門をつくり、あとから根治術を行う。
- 高位では便を自分で調節する力が育ちにくく、排便の自立に向けた支援が長く続く。
参考: 系統看護学講座 小児看護学
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について