第104回 看護師国家試験 午後 問73 解説
📝 問題
Aさん(79歳、女性)は、癌の化学療法を受けていたが、脳出血を起こし意識不明の状態になった。Aさんの家族は回復する見込みはないと医師から説明を受けた。家族はAさんの延命を望んでおり、医師と今後の治療方針を決定する前に看護師に相談した。 Aさんの家族への対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ Aさんが前もって示していた事前指示が残っていないか、家族に確認するよう伝える。
Aさんは意識がなく、自分の希望を伝えられない。 この場面でまず探すのは、Aさんが元気なうちに示していた考えである。
文書に書き残していたり、ふだんの会話で「こうしてほしい」と伝えていたりした事前指示があれば、それが本人の意思をたどる手がかりになる。 家族には、Aさんが何か書き残していないか、以前どんなことを話していたかを思い出してもらう。
治療方針は、本人の意思を中心に、家族と医療・ケアチームが話し合って決めていく。 残る3つは、決め方を人任せにしたり、事実と違う見通しを伝えたりしている。
- 1
医師に方針を決めてもらうよう伝える。不正解
治療方針は医師が一人で決めるものではない。本人の意思を中心に、家族と医療・ケアチームが話し合って決める。
- 2
病院の倫理委員会に判断を依頼するよう伝える。不正解
倫理委員会は、話し合っても意見がまとまらないときに助言を求める場である。話し合いが始まる前の段階では順番が違う。
- 3
Aさんのアドバンスディレクティブ〈事前指示〉を確認するよう伝える。正解
事前指示は書面とは限らず、家族に語っていた希望も手がかりになる。見つからないときは、Aさんならどう考えたかを家族と一緒に推し量る。
- 4
経管栄養法を開始することでAさんの身体の状態は維持できると伝える。不正解
回復する見込みがないと説明されている中で、栄養を入れれば状態を保てるとは言えない。事実と違う見通しは家族の判断をゆがめる。
📚 混同しやすいので注意
人生の最終段階の意思決定は、よく似た言葉を入れ替えて問われる。「前もって書き残すのが事前指示、話し合いを続けるのがアドバンス・ケア・プランニング」と対にして覚えよう。
- 事前指示=判断できなくなったときに備え、望む医療や、代わりに判断してほしい人を前もって示しておくこと
- リビングウィル=事前指示のうち、受けたい医療・受けたくない医療を書き残した文書
- アドバンス・ケア・プランニング=本人・家族・医療者が繰り返し話し合い、意思を確かめ続ける過程。国の指針にも盛り込まれ、厚生労働省は人生会議という愛称を定めている
参考: 厚生労働省 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン/系統看護学講座 基礎看護学
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について