第104回 看護師国家試験 午後 問120 解説
📝 問題
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。Aさん(37歳、女性)は、アジアの出身で1か月前に日本人の夫(40歳)と娘(12歳)とともに日本に移住した。母国語以外に簡単な言葉であれば日本語と英語は理解できる。Aさんは、胸のしこりに気付き1週前に受診し、検査の結果、乳癌と診断された。今後の治療について説明を受けるため外来を受診する予定である。夫から「仕事が忙しく説明に立ち会えない。妻は日本語が上手く話せないがどうしたらいいですか」と電話があった。 入院初日。Aさんの同室の患者から、Aさんが使用している香水の香りが強く気分が悪くなるので何とかして欲しいという訴えがあった。病棟では香水の使用を禁止している。看護師が香水の使用をやめるように説明すると、Aさんは医師から何も言われていないと話した。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 香水の使用が禁止されている理由を説明するのが最も適切である。
Aさんは決まりを破ろうとしているのではない。欠けているのは禁止の理由である。香水を使う習慣は文化や生活に根ざしているので、理由のないまま「やめてください」と言われても納得できない。
同室の患者が香りで気分が悪くなっていること、治療中はにおいに敏感になる人がいることを、Aさんに分かる言葉で伝える。理由が分かれば、自分から控えることができる。
残る3つは、問題の解決にならない。 個室の利用は費用の負担が生じるうえ、場所を変えるだけで理解は得られない。 同室の患者を説得するのは、香水を禁止している病棟の決まりと逆向きである。 病棟の決まりは医師の許可で変わるものではなく、誤った説明になる。
- 1
個室の利用を勧める。不正解
個室は費用の負担が生じ、場所を移すだけで理解は得られない。まず理由を伝えて納得を得る段階である。
- 2
同室の患者を説得する。不正解
香水を禁止しているのは病棟の決まりであり、訴えている側に我慢を求めるのは筋が違う。
- 3
禁止されている理由を説明する。正解
同室の患者が香りで気分が悪くなること、治療中はにおいに敏感になる人がいることを、分かる言葉で伝える。理由が分かれば自分から控えられる。
- 4
医師の許可があればよいと説明する。不正解
病棟の決まりは医師の許可で変わるものではない。誤った情報を伝えることになり、あとで混乱を招く。
📚 ここも一緒におさえておこう
文化の違う人へのケアは、決まりを押しつけずに理由を伝える姿勢が問われる。「背景を知る」と「分かる言葉で説明する」を1組で覚えよう。
- 食事・入浴・服装・面会など入院生活の決まりは、入院時に一緒に確認しておくと行き違いが減る
- 宗教や習慣にもとづく行動はその人の大切な文化として尊重し、頭ごなしに否定しない
- 難しい言い回しを避けたやさしい日本語を使うと、通訳がいない場面でも伝わりやすい
参考: 厚生労働省 外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル/系統看護学講座 看護の統合と実践
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について