第103回 看護師国家試験 午後 問97 解説

状況設定老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(75歳、女性)は、娘と2人で暮らしている。5年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病と診断された。半年前から食欲不振が続き体重減少がみられ受診した。検査の結果、胃癌と診断され胃全摘出術が行われた。入院時の改訂版長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉16点、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉18点。 Aさんは、術後1日の深夜に大きな声で娘の名前を呼び「ここはどこ」と叫びながらベッド柵をたたく行動がみられた。 このときに最初に行う対応として適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 深夜に混乱しているAさんには、まず病院に入院していることを穏やかに伝える。

術後1日の深夜に急に始まった混乱で、時間と場所が分からなくなっている。これは術後せん妄にあたる。 最初に行うのは、看護師がそばに行き、ここが病院であること、手術が終わったこと、いまが夜であることを短い言葉で穏やかに伝えることである。見当識の手がかりが戻ると不安が下がり、興奮も落ち着きやすい。

他の3つは、最初の手ではない。 上肢の抑制はかえって恐怖と興奮を強める。 睡眠薬はかえって混乱を長引かせることがある。 娘の付き添いは有効だが、深夜に呼び出す前に看護師にできる対応がある。

術後せん妄とは

手術のあとに一時的に起こる意識の混乱。時間や場所が分からなくなり、夜間に強く出やすい。

  • 1

    上肢の抑制を行う。不正解

    抑制は動きを制限する行為で、ほかに方法がないときの最終手段である。せん妄では恐怖と興奮を強めてしまう。

  • 2

    睡眠薬を与薬する。不正解

    睡眠薬、とくにベンゾジアゼピン系はせん妄を悪化させることがある。薬より先に環境を整える。

  • 3

    娘に電話して来院してもらう。不正解

    家族がそばにいると落ち着きやすいが、深夜の呼び出しは娘の負担も大きい。まず看護師が対応する。

  • 4

    病院に入院していると説明する。正解

    いまどこにいて何があったのかを穏やかに伝えると、見当識の手がかりが戻り、不安がやわらぐ。せん妄への最初の対応になる。

📚 まず何をするか

術後せん妄は、対応の順番がそのまま問われる。原因を取り除く・環境を整える・薬と抑制は最後、の順で覚えよう。

  • ①からだの原因を探す=痛み・脱水・低酸素・便秘・尿閉や薬。取り除けるものから取り除く
  • ②環境を整える=時計とカレンダーを見えるところに置き、昼は明るく夜は暗くする。眼鏡と補聴器を使ってもらう
  • ③薬と抑制は最後=どちらもせん妄を悪化させうる。使うときも時間を決め、早く外す

参考: 標準的な老年看護学(術後せん妄への対応)

出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

この問題をアプリで演習しませんか?

この1問を演習する(無料)第103回の問題一覧を見る