第103回 看護師国家試験 午後 問86 解説
📝 問題
潰瘍性大腸炎と比べたCrohn〈クローン〉病の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・2
💡 解説
✅ クローン病は潰瘍性大腸炎に比べて癌化の頻度が低く、瘻孔を併発しやすい。
クローン病は口から肛門までどこにでも炎症が起こる病気で、腸の壁を全層にわたって侵す。壁を突き抜けるため、腸と腸、腸と皮膚、腸と膀胱がつながる瘻孔や、痔瘻・狭窄ができやすい。 一方の潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜だけが連続して侵される病気で、経過が長くなるほど大腸癌が生じやすく、内視鏡での定期的な監視が要る。クローン病で大腸が癌になる頻度は、それに比べると低い。
他の3つのうち2つは潰瘍性大腸炎の特徴で、残る1つは年齢が違う。 初発症状の粘血便と、大腸に限られた連続する炎症は潰瘍性大腸炎のもの。クローン病が発症しやすいのは10〜20歳代の若い人である。
瘻孔とは
炎症で腸の壁に穴があき、腸どうしや腸と皮膚・膀胱が異常につながってしまった通り道。便やガスが本来の道以外へ流れる。
- 1
悪性化の頻度は低い。正解
潰瘍性大腸炎は経過が長くなるほど大腸癌が生じやすく、内視鏡での監視が欠かせない。クローン病で大腸が癌になる頻度はそれより低い。
- 2
瘻孔を併発しやすい。正解
クローン病の炎症は腸の壁を全層に及ぶため、壁を突き抜けて瘻孔や膿瘍、痔瘻、狭窄をつくる。潰瘍性大腸炎の炎症は粘膜にとどまる。
- 3
初発症状は粘血便である。不正解
粘血便は潰瘍性大腸炎の初発症状。クローン病は腹痛と下痢、体重減少、発熱から始まることが多い。
- 4
炎症は大腸に限局している。不正解
大腸に限られるのは潰瘍性大腸炎。クローン病は口から肛門までどこにでも起こり、とくに回腸末端に好発して、病変がとびとびに現れる。
- 5
好発年齢は50歳以上である。不正解
クローン病の好発年齢は10〜20歳代、潰瘍性大腸炎は20〜30歳代で、どちらも若い世代に多い。
📚 混同しやすいので注意
炎症性腸疾患は、2つの病気の特徴を入れ替えて問われる。「クローン病は全消化管・全層・とびとび」「潰瘍性大腸炎は大腸・粘膜・連続」と3語ずつで対にして覚えよう。
- 病変の場所=クローン病は口から肛門までどこにでも起こり(回腸末端に多い)、潰瘍性大腸炎は大腸だけで直腸から連続して広がる
- 深さと見え方=クローン病は全層性で縦走潰瘍・敷石像、潰瘍性大腸炎は粘膜にとどまりびまん性に赤くなる
- 合併症=クローン病は瘻孔・狭窄・肛門病変、潰瘍性大腸炎は長期経過での大腸癌
参考: 標準的な消化器病学(炎症性腸疾患)/難病情報センター「クローン病」
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について