第103回 看護師国家試験 午後 問70 解説
📝 問題
Aさん(21歳、男性)は、統合失調症と診断され、入院してハロペリドールの投与が開始された。入院後3日、39.5℃の急激な発熱、発汗、筋固縮および意識障害を認めた。 Aさんの状態で考えられるのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 抗精神病薬の投与後に高熱・発汗・筋固縮・意識障害が現れた状態は悪性症候群である。
悪性症候群は、抗精神病薬を始めたときや量を増やしたときに起こる、命に関わる副作用である。 高熱・筋固縮・意識障害に、発汗や頻脈といった自律神経の症状がそろって現れ、血液の検査ではクレアチンキナーゼ(CK)が高くなる。 Aさんはハロペリドールの開始から3日でこれらがそろっており、経過も典型的である。 気づいたらすぐ薬を中止し、輸液と冷却で全身を管理する。
他の3つは、高熱と筋固縮を説明できない。 昏迷は動きと反応が止まる状態、てんかん発作は突然のけいれん、静座不能(アカシジア)はじっとしていられない状態である。
筋固縮とは
手足の筋肉がこわばり、他の人が関節を曲げ伸ばししようとすると重い抵抗が続く状態。
- 1
昏迷不正解
昏迷は意識が保たれたまま、話しかけても反応せず動かなくなる状態。高熱や筋固縮は伴わない。
- 2
悪性症候群正解
抗精神病薬の開始や増量から数日で、高熱・筋固縮・意識障害・自律神経の症状がそろう。ただちに薬を中止する。
- 3
てんかん発作不正解
てんかん発作は突然の意識消失やけいれんが発作的に起こるもので、続く高熱や筋固縮は説明できない。
- 4
静座不能〈アカシジア〉不正解
アカシジアは足がむずむずしてじっと座っていられない状態。発熱や意識障害は起こらない。
📚 混同しやすいので注意
抗精神病薬の副作用は、症状と出る時期を入れ替えて問われる。「熱が出るか」「いつ出るか」で切り分けよう。
- 悪性症候群=薬の開始・増量から数日以内。高熱と筋固縮がそろい、ただちに薬を中止する
- 急性ジストニア=首が片方へねじれる、眼球が上を向いたまま戻らないなど、筋肉が突っ張る。開始から数日以内に多い
- アカシジア=足がむずむずしてじっと座っていられない。開始・増量から数日〜数週で出る
- 遅発性ジスキネジア=口をもぐもぐ動かすなどの不随意運動。長く飲み続けたあとに出る
参考: 精神看護学テキスト(向精神薬の副作用と看護)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について