第103回 看護師国家試験 午後 問114 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん(40歳、男性)は、大学1年生のときに統合失調症を発症し、精神科病院に20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。 Aさんは受診時に「毎日父親に責められます。実家を出て生活してみたいです」と訴えた。Aさんに単身生活の経験はない。 Aさんに勧める社会資源で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 単身生活に必要な力を一定期間かけて身につける自立訓練(生活訓練)が最も適している。
Aさんは実家を出て暮らしたいと望んでいるが、20年の入院のあと、一人で暮らした経験がない。買い物・調理・金銭の管理・服薬の続け方といった、生活の力をこれから身につける段階にある。
自立訓練(生活訓練)は、障害者総合支援法の訓練等給付の1つで、地域で暮らすために必要な生活能力の訓練を一定期間受けられる。父親との関係で消耗しているAさんが、実家を離れて力をつける場になる。
残る3つは、生活の力を身につける場ではない。
訓練等給付とは
障害福祉サービスのうち、働く力や生活する力を身につける訓練を受けるもの。自立訓練や就労移行支援が入る。
- 1
自立訓練〈生活訓練〉正解
地域で暮らすための生活能力を、標準で2年間(長期入院していた人は3年間)訓練できる。宿泊しながら受ける形もあり、単身生活の準備に合う。
- 2
小規模多機能型居宅介護不正解
小規模多機能型居宅介護は介護保険のサービスで、通い・訪問・泊まりを組み合わせて要介護の高齢者を支える。40歳で統合失調症のAさんが使えるのは障害福祉サービスである。
- 3
短期入所〈ショートステイ〉不正解
短期入所は、介護する家族の休養や急な事情に備えて短期間泊まるサービスである。一時的に預かる仕組みであって、生活の力を身につける場ではない。
- 4
共同生活援助〈グループホーム〉不正解
共同生活援助は、世話人の支援を受けながら共同生活を送る住まいの場である。2024年からは一人暮らしを希望する人への支援も加わったが、生活の力を身につける訓練そのものは自立訓練が担う。
📚 混同しやすいので注意
障害福祉サービスは介護給付と訓練等給付に分かれ、どちらに入るかを入れ替えて問われる。身体の介助なら介護給付、力をつける訓練なら訓練等給付と振り分けよう。
- 介護給付=居宅介護(ホームヘルプ)・重度訪問介護・生活介護・短期入所・施設入所支援など
- 訓練等給付=自立訓練(機能訓練・生活訓練)・就労移行支援・就労継続支援・自立生活援助・共同生活援助など
- 一人暮らしを始めた人を定期的に訪ねて相談に乗るのが自立生活援助。自立訓練のあとの受け皿として続けて覚える
参考: 障害者総合支援法(訓練等給付・自立訓練)/厚生労働省「障害福祉サービスの内容」
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について