第103回 看護師国家試験 午前 問97 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしている。Aさんは1年前に夫を亡くした後、近所付き合いが少なくなっていた。遠方に住むAさんの息子が時々電話で様子を確認していた。最近は元気がなく、Aさんの息子が心配して様子を見に来たところ、食事を食べた様子がなく、ごみは捨てられていなかった。Aさんは発熱してぐったりしており、息子に連れられて病院を受診した。Aさんは脱水状態の治療と抑うつ状態の疑いのため検査が必要であると判断されて入院した。Aさんの既往歴に特記すべきことはない。Aさんは入院直後、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉30点であった。 さらに情報収集のために用いるアセスメント方法で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 認知機能は保たれ抑うつが疑われるため、老年期うつ病評価尺度を用いて評価する。
Aさんは1年前に夫を亡くしてから人との交流が減り、食事をとらず、ごみも捨てられなくなっていた。意欲と生活の力が落ちた状態で、抑うつが疑われる。 ミニメンタルステート検査(MMSE)は30点の満点で、認知機能は保たれている。
次に確かめるのは抑うつの程度である。老年期うつ病評価尺度(GDS15)は、15の質問に「はい・いいえ」で答えてもらう短い尺度で、体の不調を尋ねる項目を含まないため、身体疾患のある高齢者にも使いやすい。
残る3つは、Aさんには当てはまらない対象を測る尺度である。
ミニメンタルステート検査(MMSE)とは
見当識・記憶・計算・図形の模写などを尋ねて認知機能を点数にする検査。点数が低いほど認知機能の低下を疑う。
- 1
DBDスケール〈Dementia Behavior Disturbance Scale〉不正解
認知症行動障害尺度は、認知症のある人の行動障害(暴言・徘徊・介護への抵抗など)を介護者の観察から評価する。認知機能が保たれているAさんは対象にならない。
- 2
Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類不正解
パーキンソン病の運動症状の進み具合を5段階で表す分類。Aさんに振戦や歩行の障害はみられない。
- 3
GDS〈Geriatric Depression Scale〉15正解
高齢者の抑うつを15項目で評価する尺度。認知機能が保たれ、抑うつが疑われるAさんの状態を確かめるのに適している。
- 4
Borg〈ボルグ〉スケール不正解
運動中のきつさを本人が数字で答える尺度で、心臓リハビリテーションなどで運動の強さの目安に使う。
📚 混同しやすいので注意
高齢者のうつ病は認知症と間違えられやすく、仮性認知症とよばれることがある。違いはそのまま国試に出るので、「本人がもの忘れを訴えるかどうか」で見分けよう。
| 項目 | 高齢者のうつ病 | 認知症 |
|---|---|---|
| 始まり方 | はっきりしていて、いつからかを言える | いつからか分からないほどゆっくり |
| 本人の訴え | もの忘れや体の不調を強く訴える | 忘れたことを自覚せず、取り繕う |
| 質問への答え方 | 「分かりません」と答える | 見当違いでも何か答える |
| 経過 | 治療によって改善しうる | 少しずつ進行する |
参考: 高齢者のうつと認知機能の評価に関する標準的看護/老年看護学(高齢者のヘルスアセスメント)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について